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万事屋未来篇
会議を終わる【万事屋の仕事 4】


「ふーん。で、結論はコレかい」




スナックお登勢に看板工事の許可を貰いがてら、挨拶に行った。住人がひ、一人増えるって、大家の許可がいるしな。
銀時がなんて説明すんのか、非常識なこと言い出しやがったら即フォローに入ろうと思ってそれなりにシミュレーションしてたんだぞ。俺は。
それを、銀時はいとも簡単に『コイツと一緒に住むから』で済ませた。そ、それならいくらでも受け取り方があるからいいだろう、合格だと安心してたのに。
婆さんは俺たちのことは知ってたようだ。
万年金欠なんだから嫁さん困らせんじゃないよ、という返事だった。
いたたまれなかった。
でも、ここでも俺の恥なんかまる無視だった。どうなってんだコイツら。



「ほい、新しい看板案。これなら『銀』までは今までのが使えるし、チラシも今ある分はシールで訂正すりゃ刷り直ししないで済むだろ」

銀時はさも自分が考えたみたいなツラしてる。言っとくけど俺の案だからソレ。

「そうかい。いい右腕が来てくれたもんだ」

でも婆さんには見抜かれたようで、ざまあ見ろだ。誰が股間だアホ。

「新婚のうちは少しゃ大目にみるがね。あんま大声出さないでおくれよ、ここの客は一人モンが多いんでね」
「えっ」
「今に始まったことじゃねーだろ、これからは外行かねーかんな。我慢しやがれ」
「追ン出されたきゃ好きにしな」
「ちょっ、ええ!? え、えええーーー!?」
「あれ、聞こえてないと思ってた?」


銀時はしれっと言うんだ。


「聞こえそで聞こえないよーで、実は聞こえてんのがヨかったんじゃねーの?」
「バッ!? ななななに言って」
「だっていつも最後はデケェ声でぎんとき、ぎんときって」
「だだだ黙れェェェ!? お前マジもう黙れ!?」
「そういう話は二人でしな。ったくロクでもないこと聞かせてくれてんじゃないよ」
「あっ!! えっ、あれ、あの、」
「看板の件は了解したから。日程だけ教えとくれ。あとは好きにやんな」
「好きにヤるわ」
「そっちじゃないよバカ」




頭がクラクラする。
なんで当たり前にこんなこと喋ってんだこいつら。これがココの『当たり前』なのか。そうなのか。
だとしたら俺が慣れなきゃいけないことは……どんだけあるんだ。

それでもすぐに馴染んじまうんだろうな、という確信が何処かにあって、嬉しいような、複雑な思いがした。






「さ、発注に行こうぜ。源外のジジイにも会わせてーし。ジイさんならキレイに作ってくれんだろ」
「それって平賀源外か」
「そーだよ。先週やっと指名手配解かれたんだと。新しいお上が手配書見直すのに時間掛かってて、ジイさん後回しにされたらしい」
「ふーん。テメーは俺の知らねーとこで、とんでもねえ野郎と付き合ってたんだな」
「まあまあ。会えばわかっから、カリカリすんな」
「だーれがカリカリしてんだゴラ!?」







《土方十四郎の業務日誌》
取引先への挨拶 兼 看板作成依頼
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