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万事屋未来篇
就職活動をする【新政府から勧誘】

※映画とは全然関係ありません。
※本当に関係ありません。
※くどいようですが、映画みたいな時間移動はありません。
※ていうか予告編すらビクビク物でチラッと見ただけ!








茂茂公が民間に下るというニュースはネットでいち早く世界に流れた。松平公はこれを機に引退し、茂茂公の新居近くに引っ越すらしい。
なんやかんやで傀儡政権は崩れた。
攘夷派の勝利とも言えなくはないが、戦と言えるほどの戦はなかった。茂茂は自身の進退とその時期を、正確に見極めたからだ。
それからもなんやかんやあって、今は桂を中心とした一派が政治を取り仕切っている。天人との不平等条約を解消すべく、大いに活躍しているようだ。
だが急進派の高杉晋助はこの事態を良しとせず、まだ宇宙の何処かに潜伏中だ。天人らも地球奪還を狙っていて、これらの勢力に対しては充分な警戒が必要である。その対策として廃刀令が解除された。武士はその手に刀を取り戻し、変事の際は己の力で世界を護ると誓ったような誓わないような。


これは、そんな時代のお話。






真選組が解散になって半月余り、近藤さんは急に行方不明になった。もう上司でも部下でもないから、誰かに確認して来いと命じることは出来なかったけど、だいたいわかってる。
山崎めは桂にスカウトされ、新政府でパシリを始めた。桂も敵(じゃねえんだけど、なんつーか今までが今までだから悔しい)ながら目の付け所は流石だ。あんな地味な男を見つけるとは。つうかやっぱりパシリか。まあ便利だしな、山崎って。
その便利な山崎が、頼みもしないのに近藤さんの行き先を俺に知らせてきた。

「姐さんトコでした。ぶん殴られてます」
「だろうな」
「でも致命傷じゃないです」
「ほー珍しい」

夜になって、元真選組屯所に可哀想なゴリラが帰ってきた。

「お妙さんとこに住むことになった!」
「……アンタよく考えたのか? 半日で血塗れになってんのにコレ、毎日」
「照れ隠しなんだってば! わかるだろ?」
「1ミリもわかんねー」
「トシだって万事屋がクッソサムイこと言ったら殴る……痛いイタイ! もう今日は顔触んないで! 死にたくない!」

山崎経由で聞いておいて良かった。近藤さんは殴られ過ぎたせいかほかの理由か知らないが、その日は筋道立てた話が出来る状態じゃなかったしする気もなさそうだった。

旧真選組や旧見廻組は、武装警察としての存在意義を終えたので解散した。だが新政府の担い手(今のところ桂)は新しく警察組織は必要だと判断したらしい。奉行所組織はもちろん、旧武装警察にも慰留要請をしてきた。

奉行所がどれくらいの割合で再就職したか知らないが、真選組は再就職組は少なかったようだ。『ようだ』というのは、もう俺は副長じゃないし俺がいちいち数を纏めてたら行きたくても行けない奴が出そうだから、副長を辞した瞬間に数なんぞ数えるのを一切やめたからだ。メンドくさい。組織維持の必要がなくなったのになんで俺がオカンよろしくいい大人の再就職先の心配しなきゃいけないんだ。

……というのもあるけど、桂のヤツ俺にもしつこく再就職しろって付き纏ってきてウザかったからでもある。何なのアレ。まず髪切れ。じゃなかったら結え。マジで。
高杉と春雨はまだワガママぶっこいてるらしく、いざという時の戦闘要員も、交渉能力に長けた奴も欲しい。つきましては残ってほしい……ってことらしい。しかも直々に。佐々木んとこにも行ったと言ってたが結果は教えてくんなかった。

テメーから呼び出しといて腹減ったとかブツブツ言い出した挙句、蕎麦屋に行くって勝手に決められた。しかも道々嫌味ったらしくオバQに『武士たるもの常々質素な物を食しておらねば有事に云々』って、俺に聞こえよがしに言うんだ。違うだろ。こないだまで俺たちから逃げ回ってたから金ないんだろ。
甚だ不本意だが俺はガッツリ食いたかったので奢ってやることにした。ファミレスで充分だろこんなヤツ、と思い連れて行ったらステーキセットを二つも注意した。質素な食生活とか言ってたのはほんの十分くらい前ではなかったか。かなりムカついたが大人の対応をして黙ってやってたのに、俺のカツ丼土方スペシャルを貶しやがった。もう頭きたんで再就職なんかしねえと断った。

「意地を張るな土方! 貴様明日からどうやって暮らすのだ。まさか元真選組副長がキャバクラの客引きやかまっ子倶楽部などに……」
「せんわテメーじゃあるまいし」
「しかしよく考えてみれば攘夷は成し遂げ真選組と敵対することもなくなったわけだし、かまっ子倶楽部に口を利いてやってもいいぞ」
「だから嫌だっつってんだろ耳付いてんの!?」
「ところで本当に毎日その食生活なのか。そんな物を食べていてはいざ敵にまみえたとき、武士の底力が、」
「そんな俺にお前追い回されてたよね!? 底力有り余ってんだけど俺!?」
「いちいち口答えするんじゃありません! もぉ! いいから新政府入っちゃいなYO☆」
「だァァれが入るかボケェェェ!?」



そういう訳で、俺と桂の交渉は決裂したけど俺は全然悪くないから。マヨネーズ飲んで出直してこい。

「いつでも待ってるYO☆」
「ついてくんな! ボケ!」




《土方十四郎の就活日誌》
新規事業立上げスタッフ/急募
→面接後、辞退(経営者と折り合わず)



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