神様は銀時を作った。 前世の銀時を見ていた神様は銀時を憐れみ、彼を知る者は誰もが目印にしていた美しい銀髪、息を飲む程の美しく紅い瞳、そして広い心を与えた。 天使は言った。 「神様、これでは銀時が恵まれすぎています」 神様は言った。 「大丈夫。ちんこ取っといた」 ところがそれを銀時がたまたま聞いてしまった。 「オイィィ!ちんこ返せよ神ィィ!オラオラ返せっつってんだよソレがねーと意味ねーだろーが、あァん!?」 ※広い心を持っています ※まだ性別は決まってません あまりの剣幕と横暴さに、神様は銀時にちんこを返した。 その代わり、取り上げたのは……、 銀時はごくごくフツーに生きている。 探し人が見つからないのが難点だが、広い心を持っているので、そのうち見つかんだろ、くらいに思ってあまり焦ってはいない。 何度かガセネタを掴まされたが『いいんだよ。それよりあいつのこと、気にかけてくれてありがとな』と微笑みこそすれ責めたことはない。何故なら広い心を持っているから。 そんな毎日を過ごすこと二十数年。 遂に待ち人は現れた。 漆黒の髪に開いた瞳孔の、若者。 前世で銀時が最も愛し、それ故に神様が現世でも(もしかしたら)逢えるように、前世と同じ髪の色と瞳を授けた、その若者。 「お待たせ、十四郎」 銀時の記憶ではこういうとき、彼は頬を染めて恥じらいながらも『おー……』とか言って寄り添ってくるはずだった。 ところが。 「おっせーんだよクソ天パ。ペッ」 十四郎は冷たかった。 神様がちんこの代わりに取り上げたのは、『最愛の人の優しさ』だった。 それでも銀時は喜んで、十四郎と一緒に暮らし始めた。なぜなら広い心を持っていたから。 拗ねちゃって可愛いの、くらいにしか思わない。 十四郎が黒いサラサラヘアとカッ開いた瞳孔を再び持って生まれたということは、彼もまた、銀時との再会を願ったに違いない。その証拠に、めちゃめちゃ罵倒されるし手も握らせてくんないし作ってあげたご飯にはやたらラー油ぶっかけるし止めればぶん殴られるけれども、十四郎は銀時との生活を嫌がりはしなかった。むしろ何年もそうしてきたかのように、当たり前に居着いた。 そんなある日。 「あのな、俺、ちんこ取られたから」 十四郎がラー油まみれのご飯をかっ込みながら、サラッと言ったのだ。 ラー油は一応注意したが脛を蹴られた。そんなことはいい。何故なら銀時は広い心を持っていたから。 しかし。 「ちんこ?」 「そう。取られた。神様に」 「ふっざけんなァァァ!どーすんだよオメー!? なに大事なとこ取られて知らん顔してんだァァァ!? 取り返してこいィィィ!」 ※広い心を持っています 「え? えええ?」 「テメーのちんこは銀さんのちんこでもあんだろーがァァァ!? 易々明け渡してんじゃねエェェェ! 取り返してこいっつってんだよオラァァァ!!」 ※広い心を持っています 「お……おう……」 十四郎は銀時の豹変ぶりに驚いたが、紅い瞳を怒りでギラギラさせた銀時に逆らわないほうがいいと思った。 そこで、なんやかんやで生きたまま神様に会う方法を探し出し、プリプリ怒っている広い心の銀時と、そこへ赴いた。 神様は十四郎の美しさを愛していたので、言葉を尽くして『お前はそのままで十分だ』と説得したが、ことごとく広い心の銀時に邪魔された。ある時はわざとらしい咳払い、ある時は銀時が『うっかり』倒した花瓶、ある時は何故かタイミングよく飛んできた石。 「最後の俺じゃなくね?」 平然と鼻をほじってる銀時の横で、十四郎は俯いている。 神様は妥協案を出した。おっぱいもつけてあげよう。ちょうど下界に『僕はおっぱいなどいらん!』と叫んでいる少女がいたから、その娘のをあげよう。 途端に銀時がゲフンゲフンと盛大に咳き込んだ上に神様のグラスを勝手に取って飲んだ。スゴい眼で睨みながら。 十四郎も、おっぱいはいらないと思った。 銀時に優しくできないのはどうしてか、自分でもよくわからないのだが、自分は男として銀時を愛していたし銀時も男の自分を愛してくれてるのは知っている。今さらおっぱいは要らない。 神様はため息をついた。 「じゃあ、ちんこ返す。その代わり……」 銀時と十四郎は下界に戻った。 十四郎のちんこも無事戻り、彼はますます男らしくなって銀時を喜ばせた。 銀時が喜ぶことは十四郎にとっても嬉しいことだったが、困ったことがあった。 「ぎん、明日早いから今日は……」 「え? なに聞こえなかった、ごっめーん。えい、」 「ひゃ!? あんっ!!」 銀時はたびたび、十四郎の声を聞くことができなくなった。 最愛の人の声が聞こえないなんて、さぞかし嘆くだろうと思うだろうが銀時は笑って、何も言わなかった。 何故なら彼は、広い心を持っていたから! ちゃんちゃん。 ------------------ 診断メーカー『神は作ったー』 http://shindanmaker.com/200316 より |