ごちゃまぜどころ
ハンター転成
外を歩けば危険ばかり。
そんな世界に生まれた私。奇異にも所謂前世の記憶というものを持っている私は出来る限り平和に、平穏を望んでここ、ザバン市で生きていた。
(え?こっちに用が出来た?)
ふと長年の腐れ縁である青年からのメールに目を通していると吉報が。
滅多にメールなんて送ってこない。一年音信不通なんてザラである。そんな腐れ縁の、幼馴染とも言える少年からのそれに頬が緩んだ。
おお、久しぶりじゃないか。と現在の住所と港からの道順を記したメールを作成して返信した。とはいっても迎えにいく気満々だから多分意味を為さないだろう。
「あっ、ヒー君!」
待ち合わせの時間。ざわめく人ごみの中に目的である人物を見つけた。
知り合いだからっていうのもあるけれど、それを差し引いても彼は人ごみの中で目立っていた。彼の容姿は昔から整っていたとは知っていたが。
「ヒー君。君相変わらず色気ムンムンだね」
「君は相変わらず色気が無いねえ?」
「ナチュラルに失礼なところも相変わらずで何よりだよ。あ、今の嫌味だから。そこんところよろしく」
「君こそナチュラルに喧嘩腰なところ変わってないね。元気そうで何よりだ」
クスクスと笑う腐れ縁を冗談混じりに殴る。
くだらないじゃれ合いはいつものことで、お互いの本気じゃないのはもともと分かり切ったところ。
憎まれ口を叩きながら我が家へ向かった。
「ヒー君、珈琲でいい?ってゆうよりも珈琲しかないんだけど」
我が家こと、古ぼけたアパートの一室へ辿り着いた私たち。部屋に入ると同時に物珍しげにキョロキョロする腐れ縁にそう声をかけながらキッチンスペースにあるインスタントの粉を手にとって見せた。
「構わないよ。」
「はーい、お湯を注いで。さあ、完成」
百万円になりまーす、とくだらないジョークを言いながら両手に持ったマグカップのうち一つを彼に手渡した。
「相変わらず家具がないんだねぇ。君の家は」
「数ヶ月単位で移動するからさ」
「家具がもとからついている部屋だってあるんだよ?」
「別に必要性を感じないんだよ」
「今、僕らの状態を見てそう言える君が凄いと思うよ」
呆れた様子でそう言う腐れ縁。
彼は私同様マグカップを片手に突っ立っている。私の部屋で。訂正、私の部屋に残された唯一のスペースで。
恐らく一歩でも動けば積み重なった本の山や資料の山などが崩れるだろう。
「僕を部屋に招待する割に迎える気は皆無だねぇ」
「これでも片付けたんだ。…君が今立っているスペースをあけるために私は断腸の想いで数冊貴重な本を処分したんだから」
そう言って腐れ縁の足元を指差した。
「それにしても相変わらずの多さだね、君の研究資料とやらは」
「まあね。っていってもここにある本をすべて読んでみても全く私の役に立つような情報は無かったんだけど」
「だろうねぇ。」
私は研究家だ。専門分野は異次元空間について。前に述べた様に私には前世の記憶がある。それだけだったならもっとスピリチュアルなことを専門にしていたのかもしれないけれど、その前世の記憶とやらが問題だった。
どうやら私が生前存在していた世界とこちらの世界とやらがまるっきり別物であるようなのだ。
私の前世の記憶には存在し得ない生き物や概念、国家、様々なものな今、私の周りに存在している。
正直前世の私が知らなかっただけとは到底思えない程の違いがあった。
なので、私は異世界が存在するという仮説というなの確信をもとにそれについての研究を行っている。
最終目的は異世界への移動手段なのだが恐らくそれは一生叶わない気がしている。
まあ、とにかく生まれ持った才能?記憶?運命?とにかくそんな感じで私はそちらの道に向かったわけだ。
「そういえばヒー君はなんでザバン市なんかに来たの?いつも言ってる秘密のお仕事ってやつ?」
「ああ。違うよ。今回はね、とある試験を受けに来たんだ」
「試験?」
「そうそう。ハンター試験ってやつなんだけどね」
「…チャレンジャー」
周りに気を使ってか微動だにせずに珈琲を啜る腐れ縁。そんな姿も麗しい。
「そんな見た目してるんだからモデルでもすれはいいのに」
「いきなりどうしてそんな話に…ああ、僕に見惚れたのか」
「ヒー君がなんでモテないのか。それは、そのナルシストに起因すると私は考えているんだけどそこのところどう思う?」
「真実を述べたまでだよ。君の行動パターンからしてそうとしか考えられないからねぇ」
「はいはい」
とここまで書いて飽きた。
読んでる方がいらっしゃるならおそらく予想しているでしょうがヒーくんとは某快楽殺人鬼です。
二人は昔からの知り合い。けど主人公はヒー君が殺人鬼とか戦闘狂だとかいう事実は知りません。知ったあとどうなるのかはなまけにも分かりません。
テキトーでごめんなさい。
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