ごちゃまぜどころ
記憶喪失になりまして
「「……は?」」
「え?だからお姉さんたち誰だってば?」
「「はあーーー?!」」
始まりは突然だった。
「つまり、こやつは任務中に足を滑らせて転んだところ、気を失った上に記憶があやふやじゃと?」
「…はい。私たちを年上と判断しているところからどうやら脳内年齢も大分幼くなっていると思われます。」
「幼く?」
「サクラのことをお姉さんと呼んでいた。」
「成る程のう…して、カカシのやつはどこにいるのじゃ?」
「「まだ任務にきていません」」
「…あいつの遅刻癖も考えものじゃな。」
ところ変わってここは火影様の事務室。調子のおかしいナルトを引き連れ、サスケとサクラはここまでやってきた。この三人の上司は任務の途中消えたのでここにはいない。
「質問いいかってばよ?」
先ほどまで黙っていたナルトが口を開いた。
「な、なにかしら?」
「俺って今本当は何歳なんだってばよ?ついでに聞けば俺ってばもしや忍者?」
間抜けなナルトのことだなら状況を理解していないと思っていたサクラは驚いた。話の流れで分かりそうものだが実際当事者になってみれば受け入れ難い事態だと思われたのに。
「お前は今12歳だ。つい数ヶ月ほど前にアカデミーを卒業して下忍になったところだ。」
そうナルトに答えたサスケも意外に思ったのか少し驚いた顔をしていた。
「うっわーマジかってばよ。俺ってばなんで忍者なんかに…」
「え?」
「…火影様?未来の俺にどんな脅しかけたってばよ?」
「い、いや、お主は自らなると言って聞かなかったのじゃぞ?」
「俺が…?ふうん。まあ、いいや。未来の俺がなんて言ってたとはいえ、今の俺は忍者なんかごめんだってばよ。忍者は辞めるってば。」
あんぐり。下忍二人は記憶喪失中とはいえ仲間の抜け忍宣言に思わず惚ける。
「…お前何言ってるんだ?!忍者になった以上いた抜けなんて許されるわけがないだろう。」
先に我に帰ったサスケ。
「そ、そうよ。ナルト。忍者を辞めるなんて抜け忍になるくらいしか」
そしてそれに続いたサクラにナルトは身までないほどの冷たい視線を向けた。
「それぐらい阿保でも知ってるってばよ。お姉さん馬鹿?」
「こっこれ、待たんかナルト!お主今いくつなんじゃ?!」
ナルトの発言に動揺二人とは違う意味で惚けていた火影は二人に遅れ我に返り、というよりも信じたくない事態を把握し始め焦る。
「は?12歳だってそこのお兄さんが言ってたってばよ。火影様ってば六年後にはこんなにも耄碌しちゃうなんて老いってのは怖いってばねー」
「そういう意味ではないことなどわかっているじゃろう?!六年前ということはお主今六歳なんじゃな?!」
「それがどうしたってばよ糞爺。俺ってば忍者になる気なんてこれっぽっちもないってば。どうやって未来の俺を畳み込んだのかは知らないけど絶対嫌だってばよ。死んでも木の葉の忍なんかになる気はないってば。それなら抜け忍にでもなんでもなってやるってばよ。」
「ナルト?!あんた何言ってるのよ?!取り消しなさいそんな言葉!しかも糞爺なんて!」
「うるさいってばよピンク頭。木の葉に尽くすくらいなら大蛇丸や暁に入る方が俺には数倍好ましいってば。」
ピクリとサスケはナルトの言葉に反応した。
「……待て。お前、今は六歳の筈だ。何故その名を知っている?」
「はっ?むしろお前は六歳の時この組織の名を知らなかったってば?とんだ甘ちゃんだってば。大蛇丸は三忍にして抜け忍として有名。暁は最近出来上がった勢力としてマークせずにはいられないグループだってばよ。集まったメンツの力しかりイタチ兄ちゃんが加入していることしかり。裏の世界じゃ相当名が売れてたってばよ。それが六年後となれば、確実にS級認定でもされてる筈だってばね。忍者志望だったなら当然知ってるべき内容だと思うってばよ。下忍のくせにこんなことを知らないだなんて。だから糞爺の教育方針は生ぬるいんだってば。」
頭が痛い。そう思ったのはことの事態を完璧に把握してしまった火影様。
「ナルト…お主」
「俺はこれぐらい自力で調べられたってばよ。もう少し情報管理に力いれた方が良かったってばね。責めるんだったら部下の能力の低さを責めろってば。」
「……お前…本当にナルトか?」
サスケは信じられないものを見る目でそう尋ねた。本気である。
「俺がナルト以外の何者に見えるんだってば?目玉腐ってるんじゃない?てゆうかカカ兄はどこなの?俺のことおいてどこ行っちゃったんだってば?」
「カカシは…」
「火影様、緊急事態と聞いて参りました。何事ですか?」
「カカ兄!」
「ん?ナルト?あれー?カカ兄って随分懐かしい呼び方だネー。」
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