ごちゃまぜどころ
はじまります
全寮制の男子校。薔薇の世界。
僕の通う聖アドルフ学園を説明するならこれだけで皆様には通じることだろう。
キラキラ生徒会、チワワ親衛隊、これらが学園の上下関係を作り上げる。上に登りつめるには、容姿と家柄がものをいう。
そんなどこまでも欲望の渦巻く、本能的で理性的なこの学園で僕は静かな毎日を送っていた。
一親衛隊員として。
「きゃー会長様愛してますぅー!」
今日も今日とて馬鹿でかい食堂の一角で適当に愛を叫んでます。僕の名前は花宮遊。なんちゅーオツム春真っ只中な名前だと思っていたがこの学園に入ってからはなんかどうでも良くなった。
みんな何故かDQNネーム。星くんだの雲母くんだの姫宮だのもうお前らどこの世界の人間だよ?!二次元か。二次元なのか。
それらに比べれば僕の名前なんてまだ可愛いもんだ。
ざわめく食堂の中。悲鳴の上がる位置が動くのに従って僕も声を出す向きを変える。
生徒会を囲う親衛隊の数は何十人といるのでいつも視界が埋れて叫んでいるお相手を目にいれることは出来ないが、キャーキャー叫んでおけば周りのガチな親衛隊に紛れられるから前に行こうと思わないし他で唯一姿を拝める朝礼は大切な睡眠時間として重宝してるのでなんだかんだで実は彼らの姿を僕は見たことがない。
別にいいんだけどねー。部活必須だったから下っ端には仕事をさせてもらえないことで有名な会長親衛隊に入ったんだし。
多分僕みたいなやつ何人かいるんじゃないかな、と思っているが未だに出会えたことはない。
真剣に活動してる人たちに申し訳ないからある程度周りに合わせてるし確認する術もないからなんとも言えないけど。
「きゃー会長様愛してますぅー」
「きゃー会長様愛してますぅー」
「きゃー会長様愛してますぅー」
みんな叫んでるからなに言ってるかなんて誰にもわかるまい。
毎日毎日言葉考えるのがめんどくさいので曜日によってフレーズを決めてある。
今日はこれ一つで通そうと思う。
恐らくいける!
きゃー以下同文きゃー以下同文きゃー以下同文
「花宮隊長ーまた、あいつが!」
そんな僕でしたが、一年後、何故か気づけば親衛隊長になっていました。何故だ。僕が一体何をした。
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