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それは幸福
3


 「あの動画ひとつであんなになって馬鹿じゃないの」

 自身の部屋に戻ってきた千晶はスマホ片手にベッドに横になった。
 萎えて反応のしないものを必死に扱き続ける春臣も、千晶の最後の一言で放心状態になっている春臣も全て滑稽だった。

 −あの春臣があんな痴態を晒すなんて誰も想像できないだろうな。

 いや、誠太なら余裕で想像するか、と苦笑しながら千晶は今日の春臣の動画をスマホの連絡アプリを通じて誠太に送った。
 いつにも増して早くにつく既読マーク。千晶はそれに気がつかない振りをしてアプリを閉じた。

 春臣の痴態を見るのはこれで2回目だった。素の春臣は京太以外には寡黙で無愛想な冷たい男だった為、普段のその春臣を知っていると全くもって性欲に対する想像ができなかったが蓋を開けてみればただの少年愛者だった。
 春臣自身は自覚していないようだったが事実を突きつけてみれば面白いくらいに狼狽えていた。それはもう冷静ではいられないくらいには。

 −まぁ、少年であれば誰でもいいってわけではないみたいだけど。

 「俺なんて会った頃から嫌われてたしな」

 それに比べて誠太に対しては初対面から春臣の反応は違っていた。生意気な態度ばかりとっていた自分とは正反対の大人しく優等生な誠太は春臣の嗜虐心を擽らせたようであった。

 幼い頃の誠太の喘ぎ声と生々しい映像を見た瞬間、面白いくらいに春臣の性器は硬くなって上を向いていたのだ。
 しまいには周りのことをシャットアウトして動画を食い入るように見ながら無我夢中で扱いていた。

 目蓋を閉じればすぐにでも先程の光景を思い浮かべられる。
 頬を赤く染め薄い唇を噛みしめた、酷く扇情的な苦悶の表情を...

 「あー、クソっ」

 その時、千晶の下半身は硬さを帯びてきていた。

 「あんたの方がエロい顔してんだよ、春臣」

 千晶はズボンと下着をずり下げ窮屈になり始めた性器を外に出すなりあの時の春臣と同じように激しく扱き始めた。
 空いた左手で先程の自慰の動画を再生し水音が聞こえるほど音量を上げる。

 次に食い入るように動画を見ているのは千晶の番であった。
 千晶も頬を紅潮させ、無意識に舌舐めずりしてしまう。

 当時、誠太にだけ見せていたあの表情を千晶は今日初めて見た。なまじ顔が整っているだけあって色気も無駄に溢れている。
 それは普段の春臣からは想像ができないほど人間らしく、感情的な...

 「...っ、」

 しばらくして、千晶は大量の精子を掌に迸らせてイッた。
 それは普段淡白で自慰などあまりしないせいか、それとも...

 「俺こそ馬鹿じゃん」

 そう言って後始末をする千晶の顔はまた無表情に戻っていた。



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