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最後に笑うのは、




 「...ほな、み?」


 「っ!あ...ひ、日向っ、」


 その時、階段の上からこちらを見下ろす日向と目があった。
 昼から家に遊びに来ていた日向。そもそも喉が渇いたという日向のために、飲み物を取りに来て母親に捕まったのだ。

 それなのに、中々戻らない俺にきっと日向は痺れを切らして部屋を出たのだろう。


 ― タイミング悪すぎだろ


 「悪い、日向。すぐに行くから部屋に...」


 「えーっ、誰なんだその女の子!すげー可愛い」


 すると日向は俺の言葉を遮ってドタドタと階段を駆け下りてきた。


 「いや、違うんだ日向。こいつは...」


 「あははっ、近くで見るともっと美人さん。てか、背高いね!あっ、もしかしてこいつの元モデル仲間?」


 「だから日向、」


 「もう、分かってるだろうけど俺、日向っていうんだ。よろしく!なぁ、穂波に抱きついてないで君も一緒に遊ぼうよ」


 全く俺の話を聞こうとしない日向は、俺に抱きつく二葉の肩を掴もうと手を伸ばす。


 「話を聞け、日向!!」


 「え...っ」

 その瞬間、二葉の目が細まるのを目の端にとらえた俺は、慌てて日向の伸ばされた手を掴む。
 まさか止められるとは思わなかったのだろう。驚いた顔の日向。
 しかし次に行った俺の言葉でさらに驚いた表情を見せた。


 「こいつは男だ。元モデル仲間でもない、ただの俺のいとこだ。よく見ろよ、女にしては細身だっていっても体格がいい。背だって女にしては少し高すぎる。男の平均身長はあるんだ」


 そう吐き捨てれば、抱きついていた二葉は俺から離れ日向の正面に立つ。


 そして驚いて何もものを言えない、日向の手を取り両手でギュッと握った。


 「ビックリした?でもよく間違えられるし、日向さんは気にしないでね」


 ニコリ、と微笑む二葉。


 ― やめろ、日向に...日向に触るな...っ、


 先程の日向同様、二葉の肩を掴もうと伸ばされる俺の手。


 「僕は二葉。改めてよろしくね」


 評判高い笑顔。完璧な仮面。


 ― やめ、ろ...


 だけど、それ以上俺は手を伸ばすことはできなかった。


 なぜなら...


 「あ...あぁ、よろしく...」

 視線の先には、頬を赤く染めて立ち尽くす日向の姿があったから。

 それは男を女と間違えた恥ずかしさからきたものなのか...

 それとも、

 俺は強く...強く歯を食いしばった。


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あきゅろす。
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