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最後に笑うのは、
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 「はぁ、はぁ...っ、はっ、げほげほっ、」


 朦朧とする意識の中、バスに降りてからも終始走り続け、着いたのは日向のいるマンション。
 時間を確認するのさえも惜しく感じ、ひたすらに足を動かした。

 扉の前に立ち、チャイムを鳴らす。そうしてゆっくりと開かれる扉。


 「ぁ、日向、今日は――― ぅあ゛っ...!!」


 日向の姿が見えてすぐに今日、行けなかった理由を言おうとした。しかし、それより早く乱暴に手首を掴まれ中に引き入れられる。
 ギリ、と掴まれた手首には爪が食い込み、痛みが走る。加えて玄関に投げ捨てられたせいで腰を強く打ち、鈍い痛みも響く。


 「なぁ、俺は何分以内にここに来いっていった?」


 「う゛く...っ、に、20分...いない、」


 仰向けに倒れる俺の上に日向は跨り、体重を掛けてくる。
 明らかにいつもとは違う雰囲気に心臓は恐怖で凍りつく。すでに二葉は帰ったのか、俺と日向以外の人の気配はなかった。


 「分かってるじゃん。でも穂波、ちゃんと分かってたってことは...わざとなのか。遅れてきたのは、」


 「...ご、ごめん。でも俺がいた場所からここまで25分くら...――― 」


 「 嘘つくな!! 」


 「...っ!!」

 突然怒鳴られ、肩がビクリと動く。こんな風に日向に怒鳴られるのは初めてでつい茫然としてしまう。
 怒りをぶつけられているのは俺なのに、どうしてもその実感がわかない。
 それに俺の言ったことは嘘なんかじゃない。本当のことだ。

 「時計見てみろよ。今は何時だ。まさか時計の見方も分からなくなったか?」


 そう言われるまま、首を横に向け居間に掛けてある時計を見て俺は驚いた。


 「そんな...っ、」


 長い針はもうすぐ6時を指そうとしいていた。

 ― 病院からここまで50分もかかったっていうのかよ。

 予定よりも2倍近くの時間がかかっている。

 「これはどういうことなんだ?本当は俺に呼ばれてもなお来ないつもりだったのかよ」

 「ちが...っ、俺ここまでずっと走って、」

 スッと立ち上がった日向は無表情で、何も発することなく居間の方へと歩いていってしまう。


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