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最後に笑うのは、
14 ※



 「ただいまー...って、もう寝たか、」


 玄関の鍵を開け、中に入るが居間に明かりは灯されておらず家の中は静まりかえっていた。
 改めて時計を見れば、ちょうど11時を迎える辺りだった。


 ― 少し早いがすでに寝てしまったのかもしれない。


 そう思った瞬間、安堵の息がでる。
 とりあえず、今日は一緒に過ごさないですんだのだ。母親は3泊4日だと言っていた。まだ約2日ほど残っていたが、それでも今日一日二葉と接することがなかったというだけで大分気が休まった。

 そうして俺もすぐ寝てしまおうと、部屋に向かうため階段を上った。...その時、


 「 おかえり、穂波 」


 「っ、二葉。なんだ、まだ起きて―――――― えっ...」


 部屋から出て俺の目の前に現れた二葉。


 そして突然訪れる体への衝撃。


 変わる視点。


 重力に従って落ちる体。


 ― 階段から突き落とされた ―


 そうわかったのは鋭い足の痛みと、体中の痛みに堪えることができず、床に倒れたまま呻いた時だった。

 階段の上の方から落とされたせいで脳震盪を起こしているのか、ひどい吐き気がし、視界もかすむ。


 「大丈夫だよ、穂波。僕が看病してあげるから!」

 タッタと、軽やかに階段を下り、俺のそばに屈む二葉。

 自分で俺のことを突き落としたくせに、心配そうな顔をして頬や額に触れてくる。


 「...はっ...ぁぐっ、ぅ...なん、で...なんで、だよ...っ、」


 再び殺されかけた。いや、もしかしたら死ぬかもしれない。

 体中が痛い。意識が薄れていく。

 カタカタと恐怖で手が痙攣する。

 「ねぇ、これじゃあ他の人の看病なんてできないね。穂波を独占していいのは僕だけなんだから。」

 そういい、ニコリと微笑むその姿は昨夜目にしたものと全く一緒だった。

 そしてその姿を最後に、俺は意識を手放した。


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あきゅろす。
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