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ひとひらの桜の夢
薄桜鬼の夢小説です。
風間千景のシリアス系です
ある日、風間が暇つぶしに屯所に顔を出すと…?
俺が何に従い
 何を受け入れる必要があるのか…

まだ気づかないお前は…
滑稽を通りこし哀れだ

何故此処に居るのに気づかない?

-風が行きゆく先に-

風が通り抜ける
長い長い時間の中に一瞬で何処かに過ぎ去るもの
存在しているかも解らないようなただの紛い物に過ぎない…。

ある昼下がりの刻
気ままに外に出て行く事にした
また新選組と遊んでやろうという軽い思いで
辿り着いてみれば、そこは田舎侍の集まり場
高貴な血をひく者にとっては慣れぬ場所だ

楽しそうに笑う人間共の声が響き渡る。
ただ俺はそこに立ち尽くしていた…
戸の隙間から見える小さな影に目を奪われていたから
愚かな人間共とまだ一緒に住んでいるとはあいつも相当も物好きと見える
女鬼は貴重な存在だ
どういう手段を取っても手に入れなければ…

いつもそうだった
俺の心は
あいつを追いかける一心で…
ただ、俺がそれに気づいていないのか…
朱珠の悲しみに満ちた顔を再び見る事となる

「……俺は   」

朱珠は誰かに微笑んだ
境内の掃除とは、やらせてくれる
我が妻となる者にそのような事をさせるとは
俺の心に憎悪が増してきた
誰かに微笑みかけるその笑みが心の底から消えない…

─何故、お前はそうなんだ
 何故いつ離れるかしれない者にそのような顔を向ける?
 
 知っているのだろう。
そのように笑んでも何も変わらない
いつか消えてしまう儚い代償の数は少なくはないと知って
そこまで、そいつらに笑顔を向けるのか。

「理解ができないな….」

ボソッと呟いた声は何処か遠くの空で響き渡っていた
だがお前に届かぬ声で…
木が揺れ葉が落ち行く哀れな姿に目を向けた
それはまるで……
もがいて、もがいて ただ死に場所を探しているような
あいつらに見えた

我ら鬼の一族に適わぬと知っていながら
そいつを必死で守ろうとするとは
じゃれているただの子犬だ

「早く引き渡してしまえばいいものを…
 ますます解らぬ奴らだ…」

風の行くままに、その足を進める
その先に驚いた顔をしている幼き少女が1人

「な…!?こんなところに何をしに来たの!」

「今回はお前を連れて行こうという訳ではない」

また怒りの目で俺を見つめるか
同胞ともあろう者が
真の自分が鬼だという事に気づかないか…
いつか俺が気づかせる。
その日までは此処に置いてやるのも悪くはない

「風間さんの言う事なんて…か、簡単には信用できませんよ…!!」

俺の名を呼ぶか
その口で
その真っ直ぐな一点の曇りもない目で

「ふっ…そうか。ただ…いつまでこんな奴らのところに居るのか知りたかっただけだ…」

意外な言葉をかけたかのように
その目は点になっている
そして駆け付けてくるのだろう
あやつらが…
千鶴の身を心配し、それで何ができるというのか知れないが
見届けようその姿を
まだ終わってはいない

朱珠!」

やはり聞こえた
あいつらの声が……
だが、不思議とその姿は嫌ではなかった
己を貫き通す一本の剣となり
光、尽きるまで輝き通す

何故だか、そんな光は嫌いではない
いつか迎えに来るその時まで…
その真の剣に賭けることにでもしてみようか

☆ページ一覧☆
1.闇色と空色な暖かい一時


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