だんぞう
家出した段蔵の話。

加藤段蔵は果心居士の弟子である。上杉や武田に仕官しようとするが不吉であるとして斬られそうになった男だが、それは別の話。

ジィイ…

「(…誰かに見られている…)」

ガサガサ

「…こんばんは、はんぞう殿」

「…何用(びっくりした…)」

「久しい…な(若干嬉しそう)」

「…家出したと聞いたが」

「うむ…」

「何故…?」

「かしん(果心)が…おれのチューちゃんを捨てたのでな」

「…チューちゃんとは」

「おれの作った…最初の人形だ」

「(人を馬鹿にした様な面と羽扇がうっとおしいあの顔色の悪い人形か)そ…そうか」

「ボロボロになったからと…捨てられた」

「…災難」

「慰めてくれるか、はんぞう殿(シクシク)」

所構わず泣き始める段蔵。

「(厄介な奴に捕まったな…)」



「…落ち着いたか」

「うむ…グスッ」

泣きやんだらしい段蔵。

ガサッ…

「あ」

「……」

「…でたか師匠バカ」

「相変わらずあなたは失礼ですね」

「悪かったな(生意気で。)」

「……(コソコソ)」

半蔵の後ろに隠れようとするがはみ出ている段蔵。
「…段蔵?」

「………」

「…果心よ、一つ聞きたい」

「何でしょうか、ドキドキしますね」

「せんでいい…何故段蔵の人形を捨てたのだ?」

「(チッ)ああ…あまりにも汚くなっていましたので(あとウザイ)」

「(舌打ちしやがった)」

「…だからといって…捨てるのは無しだ」

「そう言われましても…」

「…おれのチューちゃん…」

「(ハア…)…段蔵」

「……?」

「…人形作り…おれも手伝おう」

「…はんぞう殿…」

「男前ですね」

「貴様…手伝えよ?(鬼の目)」

「はい喜んで手伝わさせて頂きます(土下座)」











できたのは歪な紫の人形でした。



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