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case 1-4
「だっ誰だ!?」

銃声に驚いた三人は直ぐに部屋の奥まで逃げ、入り口の方を見る。功賀は銃を構えた儘三人を見据えた。

「キョウ、あいつらの始末の仕方は?」
書類を見ていない功賀は三人がターゲットと言うことは知っていても起こした事件内容を知らない。上條は稔と共に室内に入り、同じく三人を見つめた。
「被害者は暴行致死なんだけど…紫貴君呼んであるから」
「は?!あいつをわざわざ呼んだってことは俺たち意味ねーじゃねーか」
「うん^^」
「オイ!」
功賀はガクリと肩を落とし、上條を見上げた。
「それぐらい俺たちで出来るだろ。何の為に此処まで来たんだよ!」
「えーだって流石に殴りまくるのは…」
「俺はいい」
「…って言うと思ったけどね」
そんな二人のやり取りを稔は呆然と眺める。
奥に逃げた三人は話の内容と制服から、P・Dが自分たちを処刑しにやって来たと理解した。

「まっ…まさか本当にP・Dかよ…」
逃亡中の080933は手足を震わせ、壁に凭れる。他二人は080933から離れ、功賀たちに向き直った。
「待ってくれ!確かに俺はコイツと連んでるけど、事件には関係ないぜ?」
「そうだよ!証拠ねーだろ!」

パァァァァーンッ!

「「!!」」

抗う二人の足元を再び撃つ。
銃弾が靴を掠め、二人は腰を抜かした。

「黙れよ。お前らがやったことはもう分かってんだよ」
功賀の冷たい視線に黙り込む二人。
然し080933は近くにあった椅子を蹴飛ばし、功賀を睨んだ。

ガンッッ

「何なんだよ!P・Dなんて殺人に殺人を重ねて、命の重さが分かってねーじゃねーか!遺族の復讐だなんて言って、アンタらただの殺人助長集団だろ!」

「そっ…そうだ!!」
喉を潰すぐらいの大きな声。それに続く後の二人。必死な三人を見て功賀はククっと笑い、肩を揺らした。

「なっ…何がおかしいんだよ!!」
080933は額いっぱいに汗をかき、後退る。功賀は帽子を上げ、三人を見渡すと銃を向けた。
「お前らがそれを言うかって思ってな…大体、俺たちがいつ"遺族の復讐"って言った?俺たちP・Dはお前ら罪人に相応の罰を与えてるだけだぜ」

パァァァーンッ

再び響く銃声。
功賀の撃った弾は後ろの窓を粉々に割り、破片が三人を襲う。
男らは固まり、動けなくなった。



**********

上條に連れられ、三人は地下についた。
冷たい鉄の廊下の先には小さな部屋があり、血で錆びた異様な匂いを放つ。
この部屋はP・Dが処刑場として使用しており、普段は鍵がかかっていてP・Dとドロップ支配人しか出入り出来ない。

三人はこれから処刑されるかと思うと自然に体が震え、脂汗が湧き出る。

「逮捕…されてないのに大丈夫なんですか?もし冤罪だったら…」
証拠が無いことに稔は不安を抱いていた。功賀はそんな稔の帽子の鍔を掴み、下げた。
「ちゃんと李南が確認してる」
「!」
糸堂李南は現場の記憶を遡る能力を持つ。稔は安心し、ホッと胸を撫で下ろした。

コツコツと足音が聞こえる。
階段の方を見ると、そこには漸く到着した桜庭紫貴の姿があった。

「紫貴君!」
上條はニコニコと出迎える。
警察からの推薦と言うエリートコースにてP・Dになった桜庭だが、新人であった前年度はやはり上條の指導の下、一年を過ごした。
「お待たせして申し訳ありませんでした」
普段は寡黙な桜庭も上條とはよく話す(らしい)。

桜庭は功賀に一礼し、そして稔にも一礼をする。稔も頭を下げると、その様子を見ていた三人は動揺し、080933はポケットからナイフを取り出した。

「くそっ…死ねぇーッッッッ!!!!」
080933は上條の懐に飛び込み、ナイフを突き立てる。
「上條さん!」
慌てて稔は飛び出し、上條を助けようとする。その時、桜庭の目が青白く光り輝いた。
後ろにいた二人の体も同じように光り輝き、080933は二人に蹴飛ばされた。

「ごふっ…!」
腹を抱え、血を吐く。
二人は080933を再び蹴り、そして髪の毛をつかんで立たせると顔面を思い切り殴った。
「ぐはぁッッ!」

「ど…どういう…」
訳の分からない事態に動揺する稔。
「一旦出るぞ」
功賀は稔の肩を押し、四人は部屋から出ると鍵をかけた。


「紫貴のマインドコントロールによってあいつらは動かされてんだよ。自分らが被害者にした同じことを、仲間にやってる。放っておけば三人死ぬだろ」
功賀のセリフが先ほどの桜庭の目が青白く光った理由を語っていた。
途轍も無い能力に稔は言葉も出ない。
上條はそんな稔の頭を撫でてやった。

「ありがとう、さっきは助けようとしてくれて」
「上條さん…」
「然しあの場面で飛び出していたら貴方も怪我をしたかも知れない。無闇矢鱈に行動するのはやめてください」
乱れた制服を軽く叩き、桜庭は稔に釘を刺すように付け足した。

「…すいません」

さすがエリートとあって桜庭は稔と格が違う。年上なのに頼りない稔は自分が情けなくて悄げた。

「まぁまぁ。稔君も紫貴君も一生懸命はいいことだよ!ねっ」
上條はウインクをして功賀を見る。
だが返事はない。功賀は外方を向いていた。

「もぉ〜こうしちゃうぞ!」
桜庭の頬を軽く引っ張り、動かして遊んでみる。
「やめて下さい」
だが桜庭は表情一つ変えない。
「もぉ〜稔君はいい子だねよしよし」
稔の頭を撫で撫でしてみる。
「ちょっ…上條さん!」
稔は恥ずかしそうに瞬きを繰り返した。


そんなくだらないことをしている間に時間は過ぎ、桜庭は扉を開けて中を確認する。先程よりも血の量が増え、壁に血飛沫が散乱したそこは三人の死体があった。
暴行を受け、あちこちの骨が折れたそれは余りにも凄惨な光景で、稔は目を伏せ、上條はそっと扉を閉めた。

「先程処理班を呼びましたので、後は任せましょう」
「いつの間に!?」
桜庭の素早い行動に空かさずツッコミを入れる上條。四人は階段を上がり、すると早速やって来た処理班と擦れ違った。

「お勤めご苦労様です」
「お前らもな」
処理班の四人がP・Dに敬礼をすると頷く功賀。すると一人が稔と桜庭の顔を見て驚いたような表情を見せた。







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