■「へぇー・・・・・!笹目先輩の”人魚姫”の公演は”ラストが大きく変るんですか!??”」 お昼休みに中庭にやってきた八重花ちゃんにソレを語る。 「うん、凄かったんだよ。笹目ちゃん・・あの部長をぶん殴って”変えてください!!”って申し出て・・・・!!!」 「え・・・ちょっと。リリちゃん・・・///!!!」 もちろんぶん殴ったのは当の黒川梨々花であるがさすが演劇部。上手い脚色と身振り手振りであたかもそれが本当のように演技する。 「ち・・・違う・・・私は・・・・・!!!!!!」 『あ、なごちゃん先輩だー・・・・・!!!!!!!!!』 「あー・・・・!!!あゆくん・・・!あずくんもー・・・・・!!!!!!!!!」 いつもの笑顔で現れるあゆくん。 それに笹目は内心ホッとしながらいつもの”演技”とはまた違った微笑を返す。 でもこの上気する気持ちと赤らむ頬はなんだろう・・・・・・・? ”笹目”も自分のその変化に気づいていないがそれは丸裸になりはじめた彼女のむき出しの”本心”の表れなのかもしれない。 「あ・・・・・・塔野さん・・・・・・」 「渋川・・・先輩・・・!」 「あー・・・・!!!!なーちゃん先輩たちだぁー・・・・・・・・」 ソコに雫と渋川。はなの3名も現れる。 「よっし!今日はみこちゃんとまこちゃんも呼び出して授業サボって花見と行こうぜー・・・・・!!!!」 ちゃっかり隣に座り込んでいた歩くんがそういい始めた。 「あー・・・!!!!!あゆくん!私達はともかくとして笹目先輩とカトリック科のみんなは優等生なんだからー・・授業サボらせちゃいけませーん!!!!!!!!」 八重花ちゃんがそう言った。 「ね、八重花ちゃん・・・私とはなちゃんと渋川先輩の事も忘れてるよ・・・・・・・」 雫は不安そうにそう話した。 「そんなのあゆの冗談に決まってるじゃん・・・・・」 梓くんがため息をついた。 それを遠くで見つめる千秋。西出。それから”部長・・・・” 「今度の公演が終わったら・・・・・”あいつ”にちゃんと謝らないとな・・・・・・・」 翌日。梨々花に謝れと頬を叩かれたが”佐伯”はすぐには謝りに行かなかった。 感情をむき出しにしたその”獣”のような瞳の”敵意”を更にむき出しにさせるかと思ったからだ。 だが、今の楽しそうな彼らの姿を見て不意に部長はため息をついた。 「俺が好きなのは・・・・・・・”笹目”、お前だよ・・・・・・・・・・」 ずっと気が付かないようだったので黙っていたが。昨日の”男子生徒”との姿を見て腹が立った。 その”感情”がああなってしまったのだが”笹目”はどうやら気づかなかったらしい・・・・・・・・・。 「”表現者”というのは辛いものだな・・・・・・。」 佐伯もまたその淡い気持ちをかき消すように。もう一度歩の方に視線を送るとそれを彼に託して礼拝堂へと消えていくのであった・・・・・・。 ■END■ [*前へ][次へ#] [戻る] |