■初めての出会いは私が海外で中等部のコンクールに参加した時のことだった。 「君は・・・もしかして、日本人かい?」 そう聞いてきた黒髪で少し色黒の背の高い年上男性に、私は日系の育ちだと答えるとその男性はまじまじと私を見た後いきなり私の袖を持ち上げた。 腕に見えた打撲痕・・・それを見られて驚いた私に彼は優しく微笑むと額に口付けをしてくれた。 「うちにおいで・・・・?」そう言って易しく手を差し伸べられ、私はDVの激しかった家を抜け出しこの日本にやってきた。 そしてその男性の勤める学校の”生徒会”その組織へのスパイとして潜入する事になったのである。 ・・・・・・・・そう、自分の言葉で下手糞ながらに話すと一緒の湯船に浸かる彼女の表情が変った。 「そう・・・なんですか・・・」 少し哀れみを持った瞳。 ”辛い・・・”そう感じた瞬間に額に口付けを落とされた。 「これがあなたを騙している”魔法”の正体なんですね?」 魔法・・・?正体・・・・? 良く分からなかったけれども口付けられた瞬間に彼女の胸が目に飛び込んできたのでどきりとして赤くなった。 「あなたはきっと悪い魔法使いに”魔法”をかけられているのですよ。」 そう言って彼女は口付けた私の額を撫で始めた。 この人は・・・魔女っ子か何かなのだろうか。いきなりそんな幻想の生き物を信じたくなってしまった。 「ソレが貴方を縛り付けている・・・・・”恐怖”の原因なんですね」 次に彼女はそういった。 「恐怖・・・・?」 私は”厳武様”に恐怖を感じているの・・・・・・? よく分からなかった・・・・分からなかったけれども涙が出た。 「きっとあなたはいままでのそういった経験から”ある価値観”を植えつけられているの思いますの」 そう言って彼女は何度も私の頭をなでながら 「”本当に・・・”その方”の事が好きなの・・・・?」 と、聞いてきた。 涙がどんどん零れてくる、撫でる手が何かの呪文のように私の涙腺の蛇口をひねっているのではないだろうか。 ぽろぽろぽろぽろ涙が零れた・・・・後に私は気絶した。 どうやら空腹と疲れと長湯でのぼせたようだった・・・・・ 目が覚めた時に彼女にそう言われたのだ。 そして「今日一日。うちに泊まっていきませんか?」 そう言われた。 ・・・・その言葉になんとなく帰りたくなかった私はそのまま頷いた。 ずっとこのままここに。この家につながれてもいいと思った。 けれども彼女はそう話したら眉をしかめて「疲れが癒えたらちゃんと自分の在るところに帰りましょうね」といい始めた。 ”自分の在るところ・・”そこはどこだろう・・・・・・・。 良く分からないけれどもその日は彼女の部屋でいろんな劇団や演劇・ミュージカルの雑誌や映画のDVDや音楽を聴いた。彼女はピアノもそれなりに弾けるらしくそれを弾いてくれたので私は近くにあったヴァイオリンで即興の曲をつけた。元々前の学校は礼拝堂のあるそういった学校だったので楽器はそれなりに扱えた。・・・・・・こちらの高等部でも生徒会に入る際その才能を上手く利用した。 ・・・・・そう思いながら段々と思い出す。 次に初めて出会ったのは”生徒会副会長”の”アイツだ・・・・” ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |