■†THE UNLIMITED 萩原 カセンA† ■ ■「って・・・!桜見物どころか東京見物じゃないか・・・・!!!!」 「違う。我々の”本当の目的”は買出しだ。」 「じゃぁこの中身は何だよ!同人誌とか筋トレグッツとか!!!」 「留守番の連中に頼まれたものだ。」 そう言って”真木達が観光や買い食いを楽しんでいる頃”、カセンは一人船の周辺をうろついていた。 この場所は”バベル”や”普通人”の目にもとまりにくい場所で管理も浅い。 だからこそ”ノーマルに炙れたエスパー崩れの溜まり場になっているいるはず”。 ”船”の近くでの”揉め事や戦闘”は避けたいがそれでも”カセン”は新しく手に入れた武器を試したくてうずうずしていた。 右手には”炎”。左手には”雷”。”持ちなれた”拳銃をモチーフ”に新しく”改良”した”日本”での新しい武器。 押さえつけた”体内のESPに反応”して能力解放時にそれを”吸収”ムチ錠に開放して”操れる事が出来る” 最初は持ちなれた”銃弾”を手元から”失う”のは”少々”気がひけて不安だったがこれなら”面白い”事が出来る。 それを試したくてうずうずしていた。 しかし”今日は”本来ならガラの悪いエスパー崩れの連中が騒いでいてもおかしくないような暗がりの路地にすら人の気配を感じない。 いや”人の気配”と”よからぬ気配”は感じるのだが”念波”自体を感じない気がする。 ”これはどういうことだろう” いくら”パンドラの管理地”といえどもあまりに”目立ちすぎると”逆に政府に警戒されるだから普段はそれを抑えてはぐれエスパー達のスラムになっていてもおかしくない場所なのに。いくら朝方。普段なら”普通人”は外で仕事なり学校なりしている時間帯のはずなのに誰もいないのは”おかしすぎる” それに”不穏な空気”とかすかに漂う”血の臭い”よく調べてみれば近くにはこびりついた血の跡や”戦闘の痕跡”弾丸や刃物傷の跡もある。 ”近くで戦闘が起こった・・・・・?” それもそんなには”古く無い傷跡”・・・・ 「もう少し範囲を広げてみるか。」 ”パンドラの所有するテリトリー”を離れて徒歩で他の工場地帯へと向かってみる。そこは”今まで自分が居た場所よりもずっと荒れたスラム状態の場所”だった。 落書きや”荒れた機材”が立ち並ぶ。 その中に一つ”最近描かれた”と思われる落書きを見つけた。 ”普通の人々参上” 「・・・・・何コレ?」 不思議に思いながらもカセンはそれをまじまじと眺めた 「一般人があえて”普通”なんて落書きなんかするのだろうか?」 しかもおかしな程に大きく他の落書きの上から描かれていた。 ”何なのコレ?” そう思いながらそれを手でなぞってみると近くの暗がりから見知らぬ男が現れた。 「お前!・・・・もしかして”エスパーか・・・・?”」 男はポケットに入れた片手にナイフ。そしてもう片手にはスタンガンか何かのようなものを隠し持っている気配がする。 どうやら”銃”や殺傷能力の強い武器は持っては居ないようだ。 胸には”リミッター”を着けているのが見える。それにかすかにだが”念波”を感じる。どうやらこの男は”テレパス”か何かの”感応系”の能力者のようだ。 低いレベルで自分の思考を探ろうとしているのが”気配から”感じ取られる。 「だったらなんだっていうの?」 「やめとけ。それに触らない方がいい」 そういって男はそばに来て近くに倒れたドラム缶に腰を下ろすと 「お前。高レベルエスパーだな」 そういって淡々と話しかけてきた。 どうやら今は自分でも”制御”が効いているようで”能力”の影響は相手に伝わっていないらしい。 ”感応系”の能力者なら尚更”影響を受け易いのだがどうやら男にはその様子は見られない ”自分自身のレベルの方が高いからかもしれない” この程度の男なら何かあっても”能力”で操る事は可能だ。何かあれば”早々”に始末してばれないように消してしまえばいい。 それでも”面白い情報が聞けるなら話を聞いてみよう” 男の”深刻そうな表情”から”カセン”は男の話を聞く事にした。 その頃丁度”ユウギリ”は”神社の前で迷子中”周りの皆が買っていく”お守り”を眺めながら”自分もそれを物欲しそうに眺めていた” 「何やってんの、お前?」 ソコに丁度良く”財布”・・・・もといアンディがやってきたところだった。 「普通の人々?」 ドラム缶の手前にあった残骸の山に座ってカセンは男の話を聞いていた。 「ていうかお前!俺様より上から見下してくるんじゃねぇよ!!!!!」 男が近くで購入した”自販機”の”ミルクセーキ”を頂きながらカセンはぼんやりをそれを無視した。 「ていうかタイツで隠れてるからってスカートの中身見ようとしないでよね!???」 そう言って足を組みかえる姿を男は頬を赤らめて顔を逸らす。 ”能力の都合上”肌を晒すと余計に”ソレ”の効果が上がってしまう。通気性にも防御効果にも富んだパンドラの特殊素材で出来た布だがいくら隠れて”見えない”とは言えどやはり相手は”異性”短いスカートから覗くコートと同じ黒のタイツの奥のソレが気になって仕方ないようだ。 「それで。その”フツーノヒトビト”って何なの?只の”ノーマル”じゃないの?」 「あぁ・・・。」 そういって男は少しバツの悪そうな顔をして深刻な表情で話を続けた。 「暫く前までここは俺が”統率”するスラム街の”シマ”だったんだ」 「へぇ・・・」 ”弱そうに見えるのにこんなのがリーダーなんだ・・・・” そんな目で目の前の男を見下しながらカセンはその話を聞いた。 「俺は中でも”感応系”の能力で”力で”居場所”を失った他の”同胞達”の面倒”をここで見てたんだ」 コーヒーを握る男の手に力が加わる。 「ソレが数日”普通の人々”っつーノーマルのヤバイ組織の連中のエスパー狩りに合ってよぉ」 「仲間を殺されたってわけ。」 「・・・・・っ!?????」 男は尚更表情をゆがめコチラを見上げてこういった 「いや・・・!ヤラレたのは団員の一部だ!それでも”怪我”した程度で死んでねぇ!しかも奴らは”警察”にまで手を伸ばしてやがって仲間が誘拐されたのにも全く話を聞いてやくれねぇ!むしろ俺たちを”汚れたゴミ”のような目でこっちを見ながら邪魔な”エスパー”の掃除が住んだって”捜査”すらしてくれねぇ・・・!」 「なら”バベル”にでも泣き付きに行けばいいじゃない?」 「や・・・・それは・・・・」 男の声が低く弱まり更にバツが悪そうに目を逸らした。 「”言えないような”悪い事してたんだ?」 「・・・・っ!????」 ”どうせ俺たちみたいなならず者のエスパーは自分達が行きぬくために汚い仕事も時にはやらなきゃなんねぇんだよ!!!!!!!” 男は嫌そうにそう叫んだが彼女の心には響かなかった。 ”汚い仕事っていったってどうせヤバイ薬を運んだりヤバイ仕事の手伝いされたり” 更に”ヤバイ仕事の後始末なんかには不良くずれのエスパーになんか仕事は回ってこないでしょ?” そんなことを思いながらぼんやりと暖かな缶を飲み干していた。 ”甘いソレを飲み干しながら”どうして”成人を過ぎた”私にこんな子供の飲み物みたいなものを渡してきたんだろう。 確かに”見た目”は少女のように少し童顔で”幼い”部分は否めないが。それでも一応は男より年上・・・・とまでは行かないが成人は過ぎているであろう相手の青年につりあう程度の年齢ではあると思う。しかし何故こんな”幼い”子供の飲み物みたいなものを渡されたのかに不快感を感じる方が彼女の中では大きかった。 「それで?”誘拐”されたってどういう事?実際”誘拐”さてたってんなら何であんたがそんな事知ってるわけ?」 「それは・・・・・」 男はバツが悪そうに”目を逸らした” 「ふぅん・・・・あぁ・・・・・・なるほど」 なんとなく。検討はついた。 ”どうやら渡された飲み物にはおかしな薬も何も入っている気配はしないが” 「そういう事・・・・・あなた。”誘拐された仲間の命と引き換えに付近のエスパーを見つけては”その”フツーノヒトビト”っていう奴らに他エスパーを売ってるのね!??」 ザッ ”ずっと嫌な気配はしていた。男は元々”武器”を手にはしていたし”尚更感応系”テレパスの使い手なら相手が”エスパー”か”ノーマル”かくらいは”機材”を使わずとも分かるであろう。少し話してなんとなく”男”の”性格”は分かった。”仲間を捨てれない”逆だ。自分が”感応系”の”能力者”だからこそ”仲間に見捨てられたくないんだ”。だから”人質”にされた”仲間の命”と引き換えに”付近のはぐれエスパー”をその”普通の人々”に売るのが”仕事”。 この”缶”はそういう事か。 ”相手を油断させて気をひかせてそのまま組織の元へ連れて行くつもりだったのだろう” しかし”私”が”それに気づいたから”付近に隠れて”男”を監視していたノーマルの連中が私を取り囲みにやってきたのだ。 しかも黒いスーツに眼鏡をかけた男達は全員銃を携帯しているようだ。それを今全員がこちらに向けている 「ま・・・待てよ。おい・・・・・ちょ、こんな場所じゃ俺までも」 ”巻き沿い喰らうじゃねーか・・!”そう言って両手を広げて手のひらを返したように銃を持った男達に媚びようとするその男。 「バカじゃない?相手は”エスパー狩り”を”目的”とした”連中”よ。今までは”あんたの能力”で上手く”事が運んだかもしれない」 ”けれども貴方程度の能力者なんてその辺にごろごろ転がっているのよ。” 「逆に今あんたを殺せば邪魔な”人質”も始末できて一石二鳥。”警察”にはエスパー同士のいさかいや口論とだけいっとけば”ヤバイ”仕事してたあんたらには”警察”だって”慈悲の目”を向けてくれないんじゃない?」 「お・・・オィ・・・・・そんな・・・・!?」 男がコチラを見上げて来た。不安そうに”助けてくれ”という目でコチラを眺めている。 ”バカじゃない” こんな簡単に”手のひらを返して”だからこそ”利用されて捨てられるのよ” そう思いながらもカセンは今の状況を”好都合”だと考えていた。 ”ここ”なら”パンドラのテリトリー”からかなり”距離”が離れている。しかも”警察”にはここの”シマ”の”グループ構成”は名が知れているようだ。 なら”ここ”で自分が暴れても他の奴らさえ洗脳してしまえば痕跡を残さず”処理”することも可能だ。 ましてや相手は”銃”を持った”ノーマルども”しかも”最初からコチラを殺す気で”銃を構えて殺気を向けている” 「丁度いい実験台になってくれそうじゃない」 ゾクゾクとした高揚感が体を駆け上る。今”今まで身を任せて着た弾丸”を持たない状況で使えるのは新しい武器とソレにあわせて考えた一部の”薬品”そして使えるか使えないか分からない”感応系の男”この場で”この武器”は逆に”好都合”だ。銃の乱射で”銃撃戦”の音による”周りへの騒音”被害も避けられる。 奴らが”警察”にでも取り合わない限りは”他”に今この状況を見ている”物”はいないだろう。 尚更”ノーマル”の監視役がついているとならばどこかに”カメラ”を隠して”男”を監視していたとは思えない。例え男に”カメラ”や”盗聴器”等が付いていたとしてもその程度ならどうにでもなる。”GPS”機能を使っていたとしてもある程度は処理できる。尚更”こんな易い”男に中受けさせていたのであれば”頻繁”に”同じ行為”を繰り返していたのであろう。周囲にECM装置を隠せる場所も頻繁に使う費用も無いだろう。ならここで”暴れて”も”外”には漏れまい。 尚更”単身”で銃を持った”集団”を相手にするには”今の武器”が一番有利に扱えるだろう 「・・・・・・楽しくなってきたわね。」 クスリと笑う彼女に”化け物”が・・・・!サングラスの一団の一人がそう言い放った ■NEXT■ |