MM
カーテンから差し込む朝日がまぶたにあたってまぶしい
(あー…ちゃんと閉めとけばよかった)
仕方なく二度寝をあきらめて瞼を持ち上げた

寝癖でボサボサの頭を乱暴に掻きながら
上半身を持ち上げるとぱらりと掛布団がめくれる
サラサラ触感の、質のいい布団
てか、うちの布団こんなの使ってないし…

「目が覚めたか」
『…跡部…?』
「何不思議そうな声出してんだよ」
視線の先にはソファに腰掛けて紅茶を飲む跡部がいた
『…なんでいりゅの?』
「アーン?お前ここがどこだかわかってんのか?」
回らない舌で聞いてみれば呆れたように返されて
改めて周りを見回してみる
高い天井
たくさんの光が差し込む大きな窓
品のある調度品
香ってくる紅茶の香り
『…あれ?ここは』
「俺の部屋だ」
紅茶を飲みながら答える跡部にぽかんとしながら
どうしてこうなったかを思い出してみる


昨日は確か跡部の両親が海外から戻ってくるから食事に誘われて
楽しい食事をしたはず
それで、おいしいワインを開けるってことになって…

『あれ?』
「飲みすぎだバカ」

そのままつぶれた私を部屋まで運んでくれたらしい
ほんとスイマセン…

「…で?」
『え?』
「そのあとのことは覚えてんのか?」
『えーと…』
大変申し訳ないのですが…
苦笑いを見せると盛大なため息をつかれて
「二度と言わねぇっつったんだからな…」
自力で思い出せ
そう告げて部屋から出て行ってしまった

『うぅ…』
何かやらかしたのかなぁ…
思い出せないなんて申し訳ないなぁ
目をつぶってゆっくりと昨日を思い出す


確か、ワインでいい感じに酔っちゃって
途中で跡部のご両親が急用で席を立っちゃって
「今日は泊まっていきなさい」
って笑顔でお母さんに言われて
でも足に力が入らなくて立ち上がれないから
跡部が…抱えてくれて
部屋まで運んでくれたんだ
そのままベッドに寝かされて…

(跡部、ごめんね)
(気にすんな)
(…)
(なぁ、)
(ん?)
(その、跡部っていうのやめろ)
(え?)
(お前もそうなるんだから、ややこしくなるだろうが)
(…は?)



ここまで思い出して、急に頭が冴える
左手を視界にかざせば
薬指の輝きに目が眩みそう
『…ウソ』


(どういうこと?)
(だから、お前も跡部になるんだよ)
(…)
(なんだ?)
(…私、バカだからはっきり言ってくれないとわからないよ)
(じゃあ、言ってやる。二度と言わねぇからよく聞けよ)


「結婚しよう」
聞こえた声に視界を持ち上げれば
入口に戻ってきた跡部がいた
『あ、とべ…』
「呼び方変えろって言っただろ」
ゆっくりと近寄ってきてベッドに腰掛ける
向けられる視線はとても優しい
「思い出したか」
左手を取られてやさしく撫でられる
そこには昨日はめてくれた綺麗な指輪があった
そんな光景にリアリティを感じなくて
手が震えてきてしまう

『あと…景吾…』
震える声で出した跡部の名前
それを聞いて微笑む彼を見て夢とか間違いじゃないんだって再認識せざるを得なかった



Marriage
Me!




『酔っぱらってる時にこんな大事なこと言わないでよ』
「今更、返事を変えようってのは認めないからな」
『…変える、わけないじゃん』




Marriage Me!
keigo.a





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