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犬も食わない
射手座ですよー




我がSOS艦隊の幕僚総長である古泉一樹は非常にできた男である。
常に冷静沈着、的確な指示を与えてくれ部下の信頼も厚い上司にしたい男ナンバーワン…らしい。
…最初に言っておくが、俺はあいつのそんな姿見た事が無い。少なくとも俺の目の前では。


「では、−−は、ここに。はい、そのように」
ある日、仕事であいつの艦へ向かった。
古泉の姿を見つけたので声をかけようとしたが、あいつは俺に気づいていない様子で自分の部下と真剣な様子で話をしていた。
…こうして見てれば俺だって噂通りだなって思うさ。でも…。
「お話中失礼致します。次回の作戦について総長に…」
「参謀!仰ってくださったら迎えに行きましたのに!」
…これだよ。
俺が声をかけた途端、総長は今までの態度と180度変わってパアッと嬉しそうに笑顔を浮かべた。いや、180度どころか1周半以上してんじゃないのか?
「…いえ、上司にそのようなご足労は」
「そんな!あなたの為だったらたいした事ではないですよ!何でも仰ってくださいね!」
…何で俺こんなに懐かれてんだ?
最初こそ普段の胡散臭い笑みを浮かべるできた上司だったんだが…、何がきっかけか知らんが気づいたらこうなっていた。ニコニコしながらまとわりついてくる様はまるで大型犬のようだ。俺に従順ですってか。上司が?アホか、それじゃあ駄目に決まってんだろ。
俺は腹の底から空気を吐き出し、伝わるようにと総長の瞳をまっすぐ見つめた。
「…あのですね、総長。特定の部下に対するそのような態度はいかがなものかと思われます。今後自粛いただきたいのですが」
失礼にならないよう心掛けながらもクレームを言うと、総長は驚いたように目を見開いて呆然とした。
「あ…、そうですよね…。すみません、ご迷惑おかけして。これからはむやみやたらに話しかけたりしませんので、ご安心ください」
明らかに気落ちした態度でそれでは、と立ち去ろうとする総長を慌てて止めた。どうしてこうこの人は両極端なんだ!
「そういう事じゃなくて!俺は仕事中だから注意したのであって…。それ以外なら問題無いでしょう?」
何で俺が上司のメンタルフォローしなきゃいけないんだ。
俺の言葉に総長の表情がゆっくりと花開くように明るくなった。
「そう…ですね!わかりました!そうします!」
ニコニコと笑顔を浮かべるその様子に俺はバレないように小さく息を吐いた。
…シュンとした顔がちょっと可愛かったとか知らんからな。
こんな小さな事で絆されるなんて俺も大概だと思う。


…まあ、週に1回位ならこの甘えん坊の総長様に構われるのも悪くないかもしれない。





何この頭悪い総長。
前ツイッターで盛り上がってた大型犬(のような)総長と普通(だっけ)な参謀です。アバウト!

参謀に懐く総長可愛い



2010 01/21


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