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古泉とぬこキョン


「よいしょ、…っと」
予定の無い休日、天気もいいしたまにはと布団を干した昼下がり。
ベランダから取り込んで床に置いておき、他の洗濯物もついでに取り込もうと考えていた矢先だった。

「ダーイブ!!」
「えっ、あ!こら!!」
隣の部屋で大人しくしていると思っていた我が家の飼い猫が、僕の体ごと干したばかりの布団に向かって飛び込んできたのだ。
布団がクッションになったからいいものの、既に青年並みの体で突撃されては身の危険を感じる…。
…何故飼い猫が喋るのかとか青年並みの体型とか気にしてはいけないと思います。我が家の猫はカラメル色の毛並みをした可愛らしい猫なのです!


「珍しいですね、あなたがこんな事するなんて」
「だって干した布団って気持ち良いだろう?」
彼は僕の腰元にまとわりつきながら布団の感触を楽しんでいるようだった。
「いい匂いがする…」
「太陽の匂いですもんね」
「うん…、いい匂い。古泉みたいな匂いだ…」
「僕、ですか?」
ポカポカとした陽気が気持ち良いのか、うっとりと瞳を細めながらそんな事を言うものだから、正直少しだけドキッとした。
「僕って太陽みたいな匂いがするんですか?」
「…そう、あったかくて、優しい匂い…、……」
「……?あの、」
徐々に小さくなっていく声に思わず名前を呼んで顔をのぞき込むと、彼は僕の足を枕にしてすうすうと寝息を立てていた。
「…仕方ないな」
そんな気持ちよさそうな顔を見たら起こす事なんてできないじゃないですか。

僕は心地いい日溜まりの中、愛猫の温もりと幸せな一時に身を預けたのだった。



(〜2010 7/16)


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あきゅろす。
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