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キミだけのヒーロー
*何故かツン泉と絡まれやすいキョン



「ちょっ…!離せよ!!」
「何で?いいじゃない、あれだったらいくらでも払うよ?」

とある晴れた休日の昼下がり。
いつものように市内探索に赴いていたはず…なのだが。
何故かサラリーマン風のおっさんにいかがわしいビルというかホテルに連れて行かれようとしているのだが。

事の発端は今日は古泉とペアになり、散策中に古泉が用を足したいと駅のトイレに向かい、俺はその外でぼうっと立っていた。
そしたら、おっさんにいきなり「今、暇?」と声をかけられ、現在に至る。

何故か俺はよくこうやって見知らぬ人間に声をかけられる。しかも決まって野郎ばかり…。
いつも無視してやり過ごすんだが、このおっさんはめげずに腕まで掴んできやがった。
言っておくが、俺は見た目が可愛いとか男に見える女子とかそんなんじゃないぞ!どっからどう見ても平均的な一般男子だ!
綺麗なお姉さんに声をかけられるならまだしも…、ああ忌々しい。


一生懸命抵抗しているのだが、おっさんの方が力が強いらしくズルズルと引きずられてしまいそうだ。
「君可愛いからね、奮発するよ?」
そういう問題じゃねーっ!!
「ちょっと…っ、いい加減にっ」
なけなしの力を振り絞って振り解どこうとした時だった。
突然、自分の体が何かに引っ張られて後方に倒れそうになった。
「うおっ!」
「いい加減離してもらえませんか」
後頭部が何かに当たり振り返ると、見た事もないくらい真剣な顔をした古泉がいた。
どうやら、俺の肩を掴んで自分の方に引き寄せたようだ。
おっさんは突然の事態に呆気に取られていたが、眉間に皺を寄せて不服そうな表情を浮かべた。
「…んだよ。連れがいるなら早く言え!」
そう捨て台詞を言い残し、そそくさと立ち去っていった。
俺はほっと一息ついて、背後の古泉に話しかけた。
「ありが…」
「…っ!あなたはどうしていつもそうやって無防備でいるんですか!」
古泉は俺の声をかき消すくらい大きな声で一喝した。
そう、いつも探索中などにこうやって絡まれてしまうと古泉が助けてくれるのだ。
「俺は、別に…」
「全くいい加減に自覚してくださいよ。…ああもう、涼宮さん達を待たせます。早く行きましょう」
まくし立ててから踵を返かし歩きだそうとする古泉を、俺は服の裾を引っ張って引き止めた。
「…っ!だったら、何でいつも助けてくれるんだよ。俺、男だし別に…」
「そういう問題じゃなくてですね!僕は……〜っ、いいから!行きますよ!」
どこかソワソワしたような様子で言い放ちながら、古泉は俺の手を掴んで早足で歩き始めた。
足のコンパスの足りない俺は引きずられるような体制になってしまう。

…古泉の手が少し汗ばんでるのって、急いで来てくれた…とかだろうか。
いつもこうやって文句言うくせに必ず助けてくれる。
…そんな優しくされたら自惚れてしまいそうだ。


古泉にはこの心臓の音がバレませんようにと願いながら、俺は連れられるがまま歩いていった。




確か絡まれやすいキョンっていくね?!とか思って書いた気がします…。
ツン泉にする予定は無かったんですが。
何となく後日の話も考え中です。


2009 6/2




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あきゅろす。
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