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青春の汗って何色?
「よし、古泉!後ろ乗れ!」
「本当にやるんですかー…?」

いつも古泉の部屋で世話になってしまうので、たまには俺の家に来いよって事になり俺と古泉は地元の駅に降り立った。
自転車を取りに行って、引きずっていくの面倒だな…と思ったら、この案が思い浮かんで実行に移してみた。

俺は愛機に跨り、古泉を振り返る。
しかし、古泉はいつまでたっても周りを気にして乗ろうとはしなかった。

「今、二人乗りは禁止されてるんですよ…?」
「大丈夫だって。この時間、意外と人気ないから」
早くと急かすように見つめると、古泉は渋々といった様子で荷台に跨り、俺のブレザーの脇を掴んだ。

「それじゃあ行くぞー!」
「うわっ!」
力強くペダルを踏み込み、どんどん加速していく。
いつも登りに苦労させられている坂道に差し掛かり、俺は一気に駆け下りた。横道も無い真っ直ぐな一本道なので、事故の心配もない。よく子供の頃に遊んだもんだ。
「ちょっ!?危ないですよ!」
「大丈夫だっつってるだろー!」

初夏の暑さに夕方で少し冷えた風が心地いい。

古泉は掴んだ手に更に力を入れているようで、クンッと引っ張られる。
こいつ、閉鎖空間で空飛んだりしてるくせにこういうのは怖いのか。
思わず、何か可愛いなと思ってしまった。

風の音が耳元でビュウビュウと鳴っている。

「古泉ーっ。好きだー」
「え?何ですかー?聞こえない…」
わざと聞こえない位の声を出すと、古泉は聞き取ろうとして少しだけ身を前に乗り出した。
俺はニヤリと笑みを浮かべると、思いっきり空気を吸い込んだ。

「古泉ーっ!好きだぞーっ!!」

とびきり大きな声で叫んでやると、しばらくして後ろから言葉になっていない声が聞こえてきた。

きっと古泉は口をパクパクさせて顔を真っ赤にしているんだろうな。
その顔を見たいが、後ろを振り返ったりしていたら本当に事故を起こしかねんと思いやめておく。

「お前はどうなんだよー?」
「は、はあっ?!あなた、何言って…っ!」
「いいから!聞かせろよー!」

ブツブツと言い渋っていた古泉だが、やがて小さな声が聞こえてきた。

「僕も…、好きですよー…」
「はあーっ?僕も何だってー?」
「ちょっ!あなた、それ絶対聞こえてますよね!!」
「聞こえねー!もう一回言ってくれー!」
「嫌ですよ!もう二度と言いません!!」

そんなやり取りをしながら、坂を下っていく。

そうだ、自転車を降りたら古泉を抱きしめよう。
あの柔らかい髪を撫でよう。

そう思いながら、俺は夕焼けの中ペダルを漕ぎ続けた。



いつまでもこの暖かい手が離れませんように。




あれ?これキョン古か?
日記で青春物が書きたいと言ってたのを本当にやりましたwww海じゃないけどね。
こんなチャリの乗り方、見つかったら完全に怒られますので真似しちゃ駄目です(苦笑)


2009 5/8


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あきゅろす。
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