ロマンチックモード。 バレンタイン用作品「La Dolce Vita」(R-18)の続編のホワイトデー話のようなものです。 が、単品でも大丈夫かと。 とある休日の昼下がり。 彼と僕の部屋で特に何かをする訳でもなく、のんびりとした時間を過ごしていた。 2人でソファーに座り、彼はテレビを、僕は読みかけの本を読んでいる。 2人共近くにいるのに全く違う事をしていて。なのに、すぐ側で感じる温もりがくすぐったくて、どこか落ち着く。 「…古泉」 ページを進めていると、突然彼に小さな声で名前を呼ばれた。 はい?と返事をして顔をあげると、ほんの数センチ先に彼の顔があって。 「ど、どうしたんですか?」 「…」 驚いて思わず声が上擦る。 声をかけるが、彼は僕を見つめたまま黙り込んでいた。 この距離で心臓の音に気づかれませんようにと祈っていると、彼の唇が静かに開いた。 「…目、閉じろ…」 「え…?」 「いいから、いいって言うまで。早くしろ…」 疑問に思いながらもゆっくり目を閉じると、しばらくしてから彼が動く気配を感じた。 彼に言われた手前、緊張を覚えつつも目を閉じていると、彼が近付いてきた。 え?と思っていると、唇に暖かい感触がして。そして、口の中に何かを押し込められた。 思わず目を開くと、すぐ目の前に彼の閉じられた眼があった。 顔に熱が灯るのを感じていると、ふいに彼が唇を離していく。 「…いいって言うまで開けるなって言ったんだが…」 恨めしそうな瞳を向ける彼の頬も、うっすらと赤く染まっていた。 口の中に押し込められたものを思い出し、確かめようと舌を動かすと甘い匂いが広がって、フワッとした食感を感じた。 これは…、 「マシュマロ…?」 「……チョコのお返しだ」 「え…、…あ」 視界に入ったカレンダーを見て思い出した。今日はホワイトデーだ…。 「しかし、あの時は僕も戴いて…」 「…別に、俺が返したかっただけだし…」 段々消え入りそうな声に、僕は嬉しくなった。 「…ありがとうございます」 「…ん」 あんなに大胆な事をしたのに、真っ赤になって俯いている彼が愛おしくて、ぎゅっと抱きしめた。 さて、僕もお返しをせねば。 僕はそっと彼に顔を近づけた。 彼に甘い、甘い口付けを降らせて。 * せっかくなので短いですが、ホワイトデー編も書いてみました。 どんだけキョンがデレモードだというwww 2009 3/14 ←→ [戻る] |