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西浦adventure-Z-


朝の支度を済ませ、宿屋を後にした花井、田島、泉、栄口、浜田の5人。

はぐれた仲間を探す為、兎にも角にも、目指すは隣町である。



西浦adventure-Z-



オラクルベリーの町を南側から出ると、一面に広がるは、青々と茂った草原。

因みに、花井たちが入って来た洞窟のある門は北側である。

前方を見渡せば、限りなく広がる緑の、大きな草原。
上を見渡せば、スカイブルーの空と、その中を悠々と泳ぐ白い雲。


──平和。


そんな言葉を彷彿とさせる様な陽気だった。


「いい天気だな…」

花井がポツリと呟く。

「おー!野球ビヨリだよなっ!」

「田島……。…今、日和ってカタカナで言ったろ…」

花井は深い溜め息を吐き、
「小学生で習う漢字だろ!」
と説教を始めた。

田島は返事もそこそこに、飛んでいた紋白蝶を猫の様に追い掛け回して遊び出す。

花井はその姿を目で追い掛け、説教をしていた事も忘れ、思わず顔を綻ばせた。


隣を見れば、他の三人も花井同様、ニコニコと微笑ましそうに田島を見つめている。


穏やかな日常─。
現実世界にいた時と、何一つ変わらない筈なのに─。


暫く歩くと、どこからかガサッと物音がした。

「…!?今…何か聞こえた…!?」

栄口がビクッと身体を竦ませ、身構える。

目を凝らして草原を見渡せば、草影から二匹の野犬が飛び出してきた。

─それも、唯の野犬ではない。

身体の大きさは普通の犬の二倍、牙はとてつもなく鋭く、その口からはポタポタッと唾液が流れ落ちた。

そして、額に刻まれた三日月形の痣─。

「デケーなオイ…ちっと手強そーだな…」

浜田が呟く。
その口振りから察するに、戦闘は初めてではないらしい。

「二手に分かれて相手しよう!花井!オマエ、田島とそっちの頼む!」

浜田が的確な指示を出す。
なんとも頼もしい限りだ。

「…ああ!」

花井は意を決して、バットを握りしめた。

ここまで来たら、やるしかない─!


「泉!栄口と下がってろ!」

浜田は泉にそう指示をして、一人野犬に向かって飛び掛かった。

栄口は初めての戦闘だから、戦力にならないと践んだのだろう。

どうやらその判断は正しかったらしい。
泉の後ろにいる栄口を見れば、バットを握りしめてはいるものの、少し震えている様だった。

泉はそんな栄口に気付くと肩をポンポンと叩き、
「ヘーキだから!」
とニッと笑みを見せながら言った。
栄口の恐怖を、少しでも取り除いてやる為に。

「泉…!ああ!」

栄口はその言葉に安心したのか震えは止まり、バットをギュッと握り直した。


─泉が再び浜田の方を見れば、浜田は額に汗を浮かべ、腕には血を滲ませていた。
どうやら一人では荷が重かったらしい。


「浜田っ!!」

泉は蒼白な顔をして、大声で叫ぶ。

「あっ!そうだ!泉…!コレ!!」

栄口はスポーツバッグから青い魔法石を取り出すと、泉に差し出した。
浜田から預かっていた物だ。

「…っ!よし!浜田っ!!避けろっ!」

泉は栄口から球を受け取ると、野犬に向かって投げつけた。

球は野犬にぶつかると共に、蒼い閃光を放つ。
そして野犬は悲鳴を上げながら倒れ込み、次の瞬間、眩い光と共に粒子になって消えていった─。

後に残されたのは、赤い魔法石が一つと、この世界の硬貨10枚だった。


─…一方、花井と田島の方は快挙であった。

田島の敏捷度は感嘆の息を漏らさずにはいられない程凄まじく、野犬の攻撃をヒョイヒョイと避けながら攻撃を繰り出していた。

花井も負けず劣らず、野犬に殴りかかっていって。

此方は倒すまでに怪我一つ負わなかったらしい。


「終わった、か…」

浜田は息を整えながら、安堵の息を吐いた。

「浜田っ!腕…!!」

泉は心配そうに浜田の手を取り、傷口を確認する。

「ヘーキヘーキ!コレ飲んだらすぐ治っちまうからさ!」

浜田はスポーツバッグから缶のドリンクを取り出すと、プルタブを開けて一気に飲み干した。

─すると、昨夜の花井同様、傷口はみるみる内に塞がっていって。
最終的に、傷痕一つ残らず消え去った。

「ホラ!ヘーキっつったろ?」

浜田はヘへ、と笑みを見せながら言う。

「…オマエっ!気をつけろよなっ!もし死んじまったら……帰れねーんだぞ!!もっと気ィつけろよっ!」

そう言った泉の表情は、とても真剣で、瞳を若干潤ませていて。
浜田は、自らの恋人がどうしようもなく愛しくなり、自分に比べたら大分小さなその身体をぎゅうっと抱き締めた。

「うん、ごめん。泉…ごめんな」

そして泉は、浜田の胸に顔を埋めて─



次の瞬間。



─頭突きを喰らわした。


どうやらクリティカルヒットだったらしく、浜田はその場にバタッと倒れ込んだ。
気を失ってしまったらしい。

「泉スッゲー!!こん中で一番強いんじゃね!?」

田島がキラキラと瞳を輝かせて言う。

「泉…オマエなぁ…」

花井は半ば呆れた様に溜め息を吐いて。

「うわぁ…!泉っ!泉っ!!犬に噛まれるよりヤバイってソレっ!浜田さーんっ!!?」

栄口がオロオロと浜田を揺する。

「ヘーキだっつの!そんなヤツ知るか!!バカ野郎!」

泉は仲間からプイッと顔を背け、バレない様にそっと涙を拭ったのだった─。



暫く歩いていくと、
(因みに浜田は意識を取り戻した)
目の前に壮大な森が広がった。
手前には看板が立っており、その看板には、
「絶望の森」
と書かれていた。

どうやらこの森を抜ける以外、隣町までのルートは無さそうだ。

「絶望……」

「とりあえず行こうぜ…進むしか道はなさそーだしな…」


森の中に入れば、太い木の根が張り巡らされ、視野全体に鬱蒼と茂る下生え。

…そして、その下生えのところどころに付着している赤い液体─。

「これって…まさか…血、とか…?」

栄口は怯えた表情で、恐る恐る進んで行く。

隣にいる、泉の手を繋いだまま。

「まさかァ〜!だとしても動物の血…だよな?」

栄口の発言に浜田が無理矢理笑顔を作って返す。

浜田の左手には、泉の右手が握られていて。

因みにその3人の前では、田島が花井の腕に絡み付いている。
…これは別に恐怖心からではなく、ただ単に田島が花井にくっついていたいだけなのだろうが。

そんな五人は、まるで幼稚園児の散歩の様な図になっていた。

…尤も、場所が場所なので、「楽しいお散歩」には見えないのだが。


そして五人は、森の更に奥へと足を進めるのだった─。



To be continued...



あとがき(仝ω仝)
戦闘シーンて難しい上に皆さんも飽きますよね…orz
因みに私はRPGをやる時、戦闘シーンはほとんどAボタン連打です/(^o^)\←ヲイ)

これから戦闘シーンは減らす方向でいこうかな(*´艸`)←え)
ど、どうですか…?←聞いた!
拍手orBBSから感想を聞かせて頂けると有難いです!




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