3000ホシ様(花×田)※微裏 [愛情の延長線] ある土曜日。 昨日、モモカンの遠縁の親戚に不幸があったらしく、モモカンは昼から県外へと出掛けていった。 「月曜までには帰るから、各自素振りなり体力作りなりしといてね!身体が訛ると、1日分取り返すのに3日かかっちゃうんだから!」 という命令と共に、練習は今日明日は休み、という伝令が回っていた。 昼休み、屋上にてみんなで昼食をとるメンバーたち。 久々の連休に喜び、各々自分の恋人と楽しそうに話していた。(自主練は午前しようと決めた) 話題は、どこへ行くか。 勿論花井も、田島と二人きりの時間を過ごせると思うと、浮き足立つのを抑えきれない気持ちだった。 「花井はないはないはないーっ!!今日オマエんち行っていい!?いいよな!?つーか行く!」 どうやらその気持ちは田島も同じだったらしい。 田島が猛スピードで喋り、花井の背中にガバーッと抱きつく。 ─否、抱きつくと言うより「絡み付く」の方が正しいかもしれない。 「おー、いいけど」 拒否する理由もないし、何より花井は田島と一緒に過ごす時間が何より大切だった。 昼食を食べ終え、 「じゃー放課後になー!!」 と言って教室へ戻っていく田島。 そして放課後─。 まず、田島の家に寄る。 田島は部屋に入るなり鞄を放り投げ、荷物(お泊まりセット)を用意し、花井の腕に絡まりながら花井宅へと向かった。 家に着くと、花井は田島を先に部屋へ行く様に促し、飲み物の準備をする。 部屋に入った田島は、花井のベッドへ思い切りダイブした。 ここは田島の指定席だ。 因みに花井はクッションに凭れかかっていたり、勉強机に向かっていることが多い。 程無くして、花井がマグカップを2つ乗せたトレイを持って戻ってきた。 マグカップの中身は、コーヒーとココア。 田島はココアの入ったカップを両手で持ち上げ、ふーふーと息を吹きかけて冷ます。 暫く冷ましてからゆっくりと口に含むと、甘い味が口の中いっぱいに広がった。 花井の方を見れば、コーヒーを飲みながら雑誌を捲っていた。 「…なーなー、花井っ!」 「なんだよ?」 「シよっ!!」 ガバーッと抱きつきながら言われ、花井はコーヒーを溢しそうになった。 「オマッ!危ねぇからいきなり抱きつくな!」 「だってさー!花井がコーヒー飲んでんの見てたらシたくなったんだもん!」 「どーいう理屈だ、そりゃあ」 「花井がコーヒー飲むとこ、エロくてカッコイイんだ!」 「!?…エロっ!?……言っとくけどヤんねぇぞ…」 「なんでだよーっ!?最近ちっともシてくんないじゃんか!花井がシてくんなきゃ三橋とヤってやるー!」 「…………」 オマエいきなり何言い出すんだ、「シてくんなきゃ」ってそれはどんな脅しだ、つーか阿部に殺られるのは必至だぞ、因みにどっちが上でどっちが下なんだ。 花井の脳内ツッコミがグルグルと廻る。 が、口に出す事は出来なかった。 「あのなァ…オレはオマエの身体を心配して言ってンの!ツラくなんのはオマエだろうが!」 「花井とエッチできんならいいもん!ゲンミツに!」 少し身体を離し、ウルウルと潤んだ瞳で上目遣いに言う田島。 花井だって健全な高校男児であるワケで。 今、世界で一番愛しいと思っている人にそんな状況に追い込まれて欲情しないわけがなかった。 「…ったく…しょーがねェヤツ…」 そう言って、田島の唇に啄む様にキスを落とした。 「ん…花井…!だいすき…!」 「ああ…オレも好きだ」 キスはどんどん深くなっていく。 花井の舌が割り入れられ、口内を探る様に動き回る。 やがて花井の手が、田島の衣服にかかった。 隙間から入り込み、素肌を撫でる。 「んぁ…」 田島の口から甘い吐息が漏れ出し、それを合図に、花井の行為はエスカレートしていった。 「んん…っ!…あ…はないぃ…!」 ────どれくらいの時間が経ったのだろうか。 花井は、ベッドの脇に置いてあった時計を確認する。 (─7時か…けっこう寝ちまったな…) お互いの身体を欲望のままに貪り合い、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。 それもその筈、久々の行為の所為か、田島が何度も何度も求めてきて。 花井の体力は限界だった。 下手したらいつもの練習よりキツかったかもしれない。 喉はカラカラに渇いていたし、空腹も感じる。 (何か食いモン持ってくっか) 田島を起こさない様にベッドを抜け出してキッチンへ向かい、オムライスを作って冷たい麦茶を注いで部屋へ戻る。 田島はまだ眠っていた。 ─よっぽど疲れたのだろう。 寝顔を覗き込み、汗で額に張り付いている髪を掻き上げる。 「…ん〜………はない…?」 「ワリ、起きた?」 「んー、…なんかいーニオイ!」 「メシ作ってきたぞ。食うか?」 「食うっ!!うまそうっ!!いただきますっ!」 田島はガバッと起き上がり、いつもと同じ台詞を述べ、花井が作ったオムライスを物凄い勢いで平らげた。 「うまかったーっ!ごちそうさまっ!」 「お粗末様。風呂、入るか?汗スゲェだろ」 「入る!花井も一緒に!」 「ハイハイ、ったくオマエは…」 毎度の事なので、花井はもう抵抗しない。 一緒に入る入らないの問答は、するだけ無駄だと解っていた。 どうせいつも花井が負けるのだから。 「じゃ、行くぞ」 風呂場へ行き、花井は田島の身体を丁寧に洗ってやる。 その間、田島は 「はないっ!もー1回シよっ!」 と、また連呼している。 …いつもの事だが、これも毎度花井が押され、負ける。 そしてまた風呂場で身体を重ね、風呂から上がって部屋に戻り、また田島が 「はないっ!もう一回っ!」 と言って、またまた花井が負けて、身体を重ねる。 この日は、尋常ではない回数で身体を重ねた。 花井も既にクタクタで、早く眠りに就いてしまいたかった。 服を着るのも億劫なくらいだ。 田島の身体を包み込む様にし、背中を擦ってやる。 すると、心地良い微睡みがやってきたのだろう。 いつも大きい目がトロンとし始め、定期的に聞こえてくる吐息。 田島の体温に触れていた花井も、心地良い微睡みに包まれる。 二人は、そのまま朝まで眠ってしまった─。 ──翌朝。 鞄に入れっぱなしだった花井の携帯が、電子音を発する。 時計を見ると、時間は朝7時半。 まだ働かない脳をフル稼働させ、花井は携帯を手に取った。 ディスプレイに表示されていたのは─モモカン。 頭を軽く左右に降り、眠気を吹っ飛ばして通話ボタンを押した。 「はい、花井です」 「ああ、花井くん?おはよう!私、思ったより早く帰れそうでねー。突然で悪いけど、今日は午後練にしようと思うの!都合はどう?」 「─はい、大丈夫です」 「良かった!悪いんだけど、皆に連絡網回してね!」 「はい」 丁寧に挨拶をし、電話を切る。 ─正直、身体はダルイ。 昨日あれだけ身体を使ったのだ。当たり前と言えば当たり前だった。 田島はまだ眠っている─。 他のメンバーに電話をし、朝食を用意して部屋に戻ると、田島はまだベッドに突っ伏していた。 「…田島?」 顔を覗き込むと、いつもと変わらぬ大きい瞳が開いていた。 「なんだ、起きてンのかよ。モモカンから連絡あってさ、今日午後から練習だと。メシ食うだろ?」 「…はないぃ〜〜っ!!どうしよ〜っ!」 田島は困り果てた顔で情けない声を出した。 「うおっ!?どうしたんだよ!?」 「…っ…立てない!」 「…はあぁっ!?…マジかよ!?」 「マジ〜どーしよ花井ぃ〜〜!!」 「………落ち着け、とりあえず落ち着け!…田島!ゆっくり立ってみろ!ゆーっくり、な?」 田島に肩を貸し、立ち上がらせる。 「…っいいっ!!?痛い痛い痛い痛い!」 ぴぎゃーーっ!と叫ぶ田島。 相当痛むのだろう。ツラそうに腰を擦っていた。 「ヤッベェな…練習、どうすんだぁ?」 「…行くっ!!ゲンミツに!」 「…それじゃ無理だろ…」 「午後まで休めば大丈夫だって!!」 「……そうかぁ?」 かなり怪しかったが、相手は田島だ。 練習を休みたくないのだろう。何より野球が大好きなヤツだ。 それは花井もよく解っていた。 「わかったよ。とりあえず昼まで休め。」 ─そして、昼過ぎ。 「おっ!大丈夫そうだぜーっ!よかったぁ〜〜!」 田島は、かなり痛みが引いた様で、一人で立てるまでに回復していた。 しかし、人一倍心配性な花井はまだ不安を感じていた。 何より田島に関する事に対しては、特に心配になってしまう。 そんな花井を余所に、時間は刻一刻と過ぎていく。 ついに練習に行かなければならない時間になった。 ユニフォームなどの荷物を準備する為、田島の家に寄る。 花井は少しでも田島の負担を軽くする為、二人分の荷物を自転車の籠に入れ、学校へと向かう。 田島の様子をしっかりと伺いながら。 自転車を置き部室へ向かうと、部室の前には浜田が立っていた。 「ちわ!どうしたんスか?」 「うん、まあ…ちょっと…」 歯切れの悪い浜田の言葉に怪訝になりつつも部室に入ると、既に殆んど全員が揃っていた。 しかし… 三橋、栄口、泉の様子が明らかにおかしかった。 今朝の田島同様、腰を擦りながら辛そうにし、たまに辛辣な顔を見せている。 ………まさか。 一つの仮説が思い浮かび、花井は青ざめた。 首だけを回し、阿部、水谷を見る。 そして部室の外には浜田がいた。 …と、いうことは。 皆、田島と同じ理由なのだろう─。 ──その日は、受け組4人は殆んど練習にならず、モモカンに怒られた。 一応「腹を下した」と理由をつけたが、モモカンが攻め組4人を物凄い勢いで睨んでいたので、もしかしたらバレていたのかもしれない─。 余談。 練習後、攻め組4人が集まった。 「なぁ…やっぱさ…みんな同じ理由…かな?」 浜田が気まずそうに言う。 「多分同じだよね〜?オレ、栄口にメチャクチャ怒られちゃったぁ!嫌われちゃったらどうしよ〜!?」 「うるせぇ水谷!自業自得だろ!」 「阿部だって一緒じゃんか!!」 「オレは三橋に嫌われたりしねェよ」 「…スゲェ自信だな…」 花井は呆れた様に言った。 因みにその後の数日間、攻め組4人は自分の恋人に頭の上がらない日々が続いたのだった。 そして、その数日の間も田島は何度も何度も 「シたい!」 と言ってきた。 花井の苦労は、絶える事がなさそうだ─。 fin... あとがき(仝ω仝) キリ番3000を踏んでくださったホシ様に捧げます! …これギャグなの?っていう疑問は残りますが…(-谷-;) こんなもので良ければどうぞっ! m(_ _)m 訪問、本当に有難うございました! これからもどうぞ宜しくお願い致します! (*^◇^*)人(`▽´*) ※こちらの作品はホシ様のみお持ち帰りOKです ※ブラウザバックでお戻りください Text Menu/TOP |