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向日葵-1-


夏体の抽選会後。

まだ本格的な暑さにはなっていないけど、それでも入学当初に比べたらかなり暑くなったと思う。

学校近くの通学路の道の隅には、まだ成長途中の、大きいとは言えない向日葵が咲いていた。

これからどんどん成長し、キラキラと輝くであろう姿は、愛しいアイツを連想させる。



向日葵-1-



田島と想いを打ち明け合ってから三週間。

想いが通じ合った相手が隣にいるということは、こんなにも幸せなものなのかと実感した。
好きだと確信してしまうと、今日までの自分を思い返し、今までどうして気付かなかったのかと、愚鈍な自分に嫌気がさした。

俺たちは、一緒にいられる時間のほとんどを共に過ごしていた。
それこそ朝練、休み時間、昼休み、部活はもちろん、放課後、たまの休日は二人で出掛けたり、どちらかの家でゆっくりしたりと、離れることはほとんどなかっ
た。

たまにキスを交わすことはあるけれど、極力触れないようにしていた。

…田島はいつでもどこでも処構わず
「はないーっ!ちゅーしよーっ!」
とか言ってくるけど。

田島は俺のことをわかってねェんだ。
田島が俺にだけ見せる、太陽のような向日葵のような、眩しくて甘い笑顔を見ると、靄がかかったような感情が沸き上がる。
俺は田島を掻き抱きたくなる想いを、必死で抑え続けていた。


その日の休み時間。

ドダダダダダッ!!
今日もまた。
毎日恒例、チャイム数秒後の、けたたましい地響き。

ガラッ!!

「はーなーいーーっ!!」

「田島っ!静かにしろって何度言えばわかんだよっ!」

「へへーっ(`▽´*)」

田島はオレの背中に飛びついてくる。

(…へへーっじゃねーよ、まったく…っ!)


「あ、阿部、くんっ!」

「おう、三橋!(来い来いと手招きする)」

「え、へへ…」

歩み寄る三橋。
そのまま三橋を引き寄せ、自分の膝の上に乗せる阿部。
これがいつもの風景だったりする。

「…!////阿部っ!ここは教室っ!」

「はないぃ〜っ!オレもあれやって!!」

「オマッ!Σ言いながら乗ろうとすんな!」

「ちぇーっ!ちょっとくらいいーじゃんかっ!三橋ばっかズリイ!!」

「わかったから!また今度な!」

「う〜〜〜…」

「唸んな!」

「…花井ってなんかオレにつめてーよなー…」

田島はボソッと呟いた。
オレには、その言葉が聞き取れなかった。

「ん?何か言ったか?」

「…べつにっ!三橋ーっ!そろそろ戻ろうぜっ!休み時間終わるー!」

「うっ、うん!じゃ、あ、またね、あべくんっ!」

「おう!(本気で名残惜しそうな阿部)」

(…ちょっとくらい我慢しろ阿部!俺がどんだけ我慢してると思ってんだっ!)

―4限目。
7組は英語の授業。
いつも通り、オレは真面目に教師の話を聞き、ノートにペンを走らせる。

授業終了のチャイム。それと共に、担任に呼び出された。1人のクラスメイトと一緒に。名前は小林奈々…だったか。

内容は、一週間後にある球技大会の準備のための会議があるんだそうだ。
オレは自分が体育委員になっていたことを思い出し、4月の自分を恨めしく思った。

つーか1週間前って!いくらなんでも急すぎだろ!
球技大会の練習は、体育の授業で1ヶ月も前からしてんのに!

球技大会の準備ってったら…昼休みはもちろん、放課後だって潰れちまうじゃねーか!

…それより田島に何て言おう。
アイツのことだから拗ねたりゴネたりすんだろーな…

「…ってわけだから、とりあえずこれから視聴覚室に行ってくれ。」

担任はプリントを見つめながら言い、職員室へ戻っていった。

…とりあえず、阿部に伝えてもらっとくか…

「阿部ー!俺、球技大会の準備のことで会議あっから、田島に言っといてくれ!」

「おう、わかった。」

オレは小林と一緒に視聴覚室に向かった。
話したことはほとんどなかったが、雑談程度を交わしながら。




―そして、7組の教室の前で、いつものように弁当箱を持ち、三橋と泉と浜田を連れ、愛しい恋人に会うべく猪突猛進してきた田島は。
寄り添いながら歩く(ように見えた)花井と見知らぬ女の子を見つめていた。


(…………ナニ、あれ…?)

「なあなあっ!アレ誰だよっ!?」

オレは大好きな花井が知らない女と歩いているのを凝視しながら聞いた。

「あー、田島!落ち着け!花井は球技大会の準備の打ち合わせに行ったんだよ!
あれは同じ体育委員の小林!」

対象を決めずに聞いたオレの質問に、阿部が答えてくれた。

「球技大会!?ナニそれっ!?」

「そっからかよ!!」
阿部と泉の声がシンクロした。
いつもならツッコむトコだけど、今日はそんな余裕はない。

「田島、体育で練習やってるだろ?球技大会の練習。」

浜田がゆっくりと教えてくれる。

「あー!そーいえばやってるよなっ!球技大会のだったのかっ!
…じゃなくてっ!花井はなんであの子と一緒にいんの!?」

「だから体育委員なんだって!」

阿部は苛々してきているらしい。

「あ、あべくんっ!」

「三橋…!」

三橋が阿部を鎮めるかの様に抱きつくと、阿部は三橋を抱きしめ、柔らかい髪を弄り始めた。

泉・浜田(はぁ…まるで鎮静剤だな…。とりあえず阿部は落ち着いた。)

「体育委員ってことは、来週の体育祭までの辛抱だって!一週間なんてすぐだろ。そんな顔すんなよ!」

「そうだよ田島!あの子だって、ただ委員が一緒なだけだって!深く考えんなよ!」

泉と浜田がフォローし、三橋もコクコクと頷いている。

「…そっかー…。うん、そーだよなっ!花井はゲンミツにオレのだしなっ!」

口には出してみるものの、やっぱり心には不安が少し残っていた。




(仝ω仝)あとがき
長編とは言えない長編…になるやもしれません(笑)
とりあえず1話です。
そしてたまに浮気して違うカプ書くと思います←最低)
この話は、コミックスでいうと4巻半ば〜ってトコかな?
しかしながら野球知識が全くない私。
矛盾、相違しているところがボロッボロ出てくると思いますが、目を瞑って生暖かく見守ってくださいまし!

あー、もうハマイズに浮気したくなってきた!ゲンミツに!(仝ω仝)←オイ)





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