置き去りの黒猫(浜×泉)※裏
最近のオマエの態度を見て、思ったんだ。
オマエの後ろ姿ばっか見てんのは、なんかスッゲームカつく。
オレがオマエの背中を見んのは、野球してる時だけでいーんだよ。
だから、オマエがオレを追って来い!
わかったか、バカ浜田!!
置き去りの黒猫
───最近、アイツはずっとオレを避けている。
野球部にもカオ出さねーし、勿論家にだって呼ばない。
ちょっと前までは、毎日の様に
「ウチでメシ食ってくだろ?」
ってウルセーくらい聞いてたのに。
…これは絶対勘違いなんかじゃない。
だって、オレのカオを見るとあからさまにどっか行っちまうんだから──。
「ワリ、泉!…オレ今日もバイトあっから、先帰るわ。明日も朝練頑張れよ!」
「…おー」
この言い回しは…、つまりは家に来んなってコトで。
オレは理由も言わずにシカトを続ける浜田に、激しい怒りを覚えていた───。
それが一週間程続いた、ある日の放課後──。
オレは教室を出て行こうとする浜田の胸ぐらを掴んで、人気の無い廊下に引き摺り出した。
「…なあ。オメーなんでオレのコト避けてんだよ?」
「…さ、避けてなんかねーって!…泉…手、離して」
「避けてんだろっ!キモチワリーんだよ!!なんなんだよオマエ…っ!?オレ、何かしたかよ!?」
「違っ…!!頼むから…っ、…あんま、触んないで…!」
オレの手を振り払うでもなく、浜田は唯…オレから顔を背けていた。
「……っ!!…んなに、イヤかよ…」
「えっ…?」
絞り出す様に言うと、浜田はやっとオレの顔を見た。
「そんなにオレに触られんのがイヤかよ!?…ああそーかよ!!
もうテメーなんか知るかっ!勝手にしやがれ!バカ浜田っ!!」
吐き捨てる様にそう言って、オレは浜田を一人残してその場から走り去った。
「泉…っ!!」
浜田の声が、少し遠くから聞こえる。
こんな時、自分の足が速くて良かったと本気で思う。
気が付けば、オレは部室に立っていた。
自然と足が向いちまったらしい。
オレは、その場にしゃがみ込んで頭を抱えた。
…涙が出そうで、悔しかった。
「いず、み…っ!」
聞き覚えのあるその声で突然呼ばれて振り返れば、部室のドアには疲れきった表情の浜田が佇んでいた。
「な…っ!?オマエ、なんでココ…」
「なんとなく、ここかなって…、思って…っ」
肩を上下させながら、必死に息を調える浜田。
それを見れば、ここまで全力疾走してきたんだってコトくらい容易にわかる。
「な…、んで…っ」
「…泉、泣いてたから。…ゴメンな…」
「なっ、泣いてねーよ…っ!!」
「ゴメン、泉…バカなコトして…ゴメン…」
「…ホンット、バカだよオメーはっ!なんで…っ、あんな避ける様なマネ…っ…」
「…オレ、さ………泉のコト好きで…っ、好きすぎて、どーしよーもなくて……」
それから、オレの顔色を窺う様にして、恐る恐る言葉を続けていく浜田。
「…最近、泉見てっと…メチャクチャにしちまいたくなる…」
「…っ…!!」
「泉が可愛すぎて、好きすぎて……オレ、自分を抑えらんなくて…!今すぐにでもメチャクチャに抱いて、オレだけのモンにしたくなっちまうんだよ…っ!」
オレはその言葉の意味を理解し、身体中から急速に熱が噴き出してきた。
不快な熱じゃなくて…身体の芯から暖まる様な、心地好い熱が。
それを感じながら、オレはぶっきら棒に言葉を返していく。
「…してみろよ…」
「え…?」
「…っ、だからっ!!オレもオマエが好きだっつってんだよ!!」
あー……今オレ、ぜってーカオ真っ赤。
コイツ、スゲー調子に乗んだろーな。
…ま、後で殴ってやればいーか。
「…っ!泉…」
浜田の手が、腕が、身体が。
どんどん、近くなっていく───。
───置いて行かれたくなかった。
イヤだったんだ。
オレと違う方向に歩いていく、浜田を見るのが。
コイツと、ずっと一緒にいたかった。
───だって、コイツの腕の中は、こんなにも心地好くて……。
「…っあ!や…っ!は、まだ…!」
「泉…力、抜いて」
「うわ…っ!こんな…っ!」
「…だって、メチャクチャにしていーんだろ?」
「な…っ!?…うあぁっ!!」
言葉とは裏腹に、優しくゆっくりと、浜田がオレの中に侵入してきて。
余りの質量と圧迫感と不快感に、眉根を寄せた。
「泉…全部入った…」
「…っ!そーゆー、コト…っ言うな、っつの…!」
「うん…ワリィ…。…動かしてもい?」
「…だからっ!聞くなっ、バカ!」
オレの声を聞くと、浜田は一つ苦笑を溢した後ゆっくりと腰を引いて、抜けそうになるギリギリのところで停止して。
…そして、またゆっくりと侵入してくる。
「んああっ…!浜田…っ!」
抽挿を繰り返す度に痛みと不快感は消え失せ、次第に甘い快感が、下腹を中心に身体全体に広がっていく。
「泉…!好きだ…っ!マジで、スッゲー好き…っ!!…カラダ、ヘーキ…っ?」
言葉が紡がれる間も、抽挿は繰り返されていて。
浜田の我慢する様なくぐもった声が聞こえる度、コイツがオレでキモチよくなってんだって思えて、嬉しくなる。
「…ヘーキ…っ、だから…っ」
「泉っ、可愛い…、…っ!…んな、腰動かしたら…っ、ガマン、できねーっつの…!」
圧迫していた質量に慣れてきたオレは、浜田のゆっくりとした動作が焦れったくなってきて。
知らず知らず、自ら腰を動かしていたらしい。
「…泉…っ、ワリィ…っ!!」
「え…?…っあ!?んああぁあっ!!」
浜田は突然堰を切らした様に、一心不乱に腰を打ち付けてきた。
室内には、腰がぶつかり合う激しい音と、その度に生まれる水音、そしてオレの喘ぎ声が谺する。
「んあああっ!!はっ、も…っ、はま、だ…っ」
「ん、…オレっも、もうっ、限界っ…!」
そして次の瞬間、一際強く最奥を突かれて、中で浜田が弾ける様な感じがして。
それと共に、物凄く熱いモノがオレの中に流れ込んできた。
オレは確かな幸福感に包まれながら、瞳を閉じる───。
「…ゴメン、泉…ヘーキ?」
「……腰とケツが痛ぇ」
「悪いっ!!ホンットゴメンっ!泉、もーすっげー可愛かったから…ガマンできなくて…」
「………かんな」
「…へ?」
「…こんなコトっ!!オマエじゃなきゃしねーんだかんなっつったんだよっ!!」
オレはまた自分のカオがどんどん熱くなっていくのを感じて、浜田に見られない様に反対側を向いた。
暫くすると、背中に暖かい温もりを感じて。
…オレは、浜田の腕の中にすっぽり収まってしまっていた。
「泉…、大好き」
「……………も」
「ん?」
今は、後ろ向きだから。
オレのカオは、浜田からはぜってー見えないから。
───だから。
「オレも…っ、好き…だかんなっ!!バカ浜田っ!」
置いてかれんのは、ぜってーイヤだから。
隠した顔を見られない様にして、今だけは素直な言葉を紡ごう───。
fin...
08.5.3
悠久幻想世界/雛月美里
あとがき(仝ω仝)
アンケお礼、浜×泉です。
意外と裏を…的なコメントがあって吃驚しました。
ツンデレ泉の破壊力は最強!(*ノωノ)
でもツンデレっていうかコレはもう…orz←
浜泉にご投票くださった皆様、本当に有難うございました!
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