*SOS団
ツッコミの少ないハルヒ
*キョンside
俺?俺もまたシンプルだ。なんせ二十五年後と十六年後だ。そんときの俺はもうけっこうなオッサンで、たぶん、その頃の俺はこんなことを願っているはずだろうさ。
『金くれ』
『犬を洗えそうな庭付きの一戸建てをよこせ』
「俗物ねえ」
俺のぶら下げた短冊を見てハルヒが呆れたようにコメントした。こいつにだけは呆れられたくないな。地球逆回転よりは遥かに人生の役に立つだろう。
「名前は何て書いたの?」
『あっ!えっと……ま、まだ書いてない。……帰るまでにはちゃんと吊しておくね!』
隠すように短冊を後ろへまわしスカート(?)のポケットにすっと入れ、慌てた素振りで応えた。
「ま、いいわ。みんな、ちゃんと書いた内容を覚えておくのよ。今から十六年が最初のポイントよ。誰の願いを彦星が叶えてくれるか勝負よ!」
「あ……はい。はい」
朝比奈さんが真面目な顔でうなずいているのを窺いながら、俺は元いたパイプ椅子に腰を落ち着けた。
見ると長門はとっくに読書にもどっている。苗字は自分の手にある短冊に目を落としていた。
いったい何を書いたんだろう
「……十六年か。長いなあ」
背後でハルヒが小さく呟いた。
今日ばかりはなぜかハルヒは妙にテンションが低かった。お空を見上げて吐息のようなため息をついていたりする。ますます不気味だ。今静かにしているぶん、反動が恐い。讃岐に流されたばかりの崇徳上皇も最初の二、三日はこんな感じだったに違いない。
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