*SOS団
みんなのお願い
*キョンside
古泉は、「さて、悩みますね」と軽やかな口調で言いながら首を傾げていた。四人とも、そんな真剣そうに考える事じゃないだろう。適当にやりすごせばいいのさ。
……よもや、本当に書いたもんが実現するとか言わないでくれよ。
「ねえ、書けた?」
ハルヒの声に振り返る。奴の手前のテーブルには次のように書かれた短冊がある。
『世界があたしを中心に回るようにせよ』
『地球の自転を逆回転にして欲しい』
なんか躾のなってないイタイ子供みたいなことを書いてやがる。ウケ狙いならまだいいのだが、笹の葉に短冊を吊すハルヒの表情はどこまでも真剣だった。
朝比奈さんは可愛らしくも丁寧な文字で、
『お裁縫がうまくなりますように』
『お料理が上手になりますように』
実にいじらしいことを依頼していて、朝比奈さんは吊した短冊を拝むようにして手を合わせて目をつむった。何か勘違いしてるっぽい。
長門の短冊は味気ない。『調和』『変革』という殺風景な漢字を習字の手本のような楷書で書いたのみである。
古泉はと言うとこれも長門と似たり寄ったりで、『世界平和』『家内安全』なる四文字熟語を意外に乱暴な筆致で記していた。
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