*SOS団
竹林から笹
*キョンside
朝比奈さんは慌てたように身繕いする。その仕草がまた良くて、俺が何かエンジェリックな修辞を言おうとしたその時、
「やっほーいっ!」
荒々しく扉が開かれ、ぶしつけな女がどこまでもぶしつけにやって来た。
「めんごめんご。遅れてごめんね」
謝ることはない。誰も待ってなどいなかったからな。
ハルヒはぶっとい竹を肩に担いでガサガサ言わせながら登場した。青々と笹の葉の茂った生々しい竹である。こんなもん持ってきて何をするつもりだ。
貯金箱でも作るつもりか。
ハルヒは胸を張って答えた。
「短冊を吊るすに決まっているじゃないの」
ホワイ、なぜ?
「意味はないけど。久しぶりにやってみたくなったのよ。願いごと吊し。だって今日は七夕だもんね」
…いつもながら本当に意味がないな。
「名前、似合うじゃないの。やっぱりあたしの目に狂いはないわ」
『ハルヒーこれ可愛いけど暑いよー』
「今日は特別。今度は秋に着てもらうから」
嬉しいのか嬉しくないのか見分けのつかない表情でまた化学のノートに目をやった。
「さあ、願い事を書きなさい」
ぴくりと長門が顔を上げた。古泉は苦笑を広げ、朝比奈さんは目を丸くしている。苗字は持っていたペンを顎にあて考えるポーズをとっていた。
*
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!