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*SOS団
完全に逆効果
*キョンside

整列して挨拶の後、さっそくハルヒがバッターボックスに入った。
ヘルメットの存在をすっかり忘れていた我々は、運営委員会からセコハンの白ヘルを借りていた。
自前のものと言えば、ハルヒが人数分持ってきた黄色のメガホンくらいである。
プレイボールを審判がコールし、敵チームのピッチャーがワインドアップモーションに入る。その第一球目。
コキン。
小気味よい金属音が響き、白球がぐんぐん飛距離を稼ぐ。
ボールが内野に返った時、ハルヒはすでにセカンドベースに到達していた。
別に俺は驚きはしなかった。
ハルヒならこれくらいのことはする。
苗字と朝比奈さん、古泉も同意見だろうし、長門はたぶん驚くという感情がない。
だが、俺たち五人以外のメンツは例外なく驚きの表情、特に敵チームが。

「ピッチャー全然大した球じゃないわよっ!あたしに続きなさい!」

これは完全に逆効果だった。
どうやらバッテリーは女だからと言って手加減する気分は早くも絶無になったようだ。
二番手の朝比奈さんがぶかぶかのヘルメットをかぶって、おずおずとバッターボックスに立つ。

「よ、よろしくお願い──し、ひん!」

言い終わらないうちにインコース高めに直球が決まった。

『み、みくるちゃん!ちょっと、危ないでしょ!みくるちゃんに怪我なんかさせたら本気で怒りますよっ!』

苗字が顔を膨らませてピッチャーに怒ったが、これも逆効果で怒らせてみたくなるくらいに可愛いそぶりである。

*

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あきゅろす。
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