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*SOS団
そよ風に揺れる鈴蘭
*主人公side

ハルヒがやっとバットを置いて満足そうに額の汗を拭った。

『ハルヒお疲れぇー』

ハルヒがあたしに向かって手を振る。

「驚きですね。本当にちょうど千本ぴったりですよ」

古泉くんが愉快そうに言う。

「そんなもんを数えているお前のほうが驚きだよ」

あたしはキョンくんに賛同。

『千とか……すごいよ。数えるのも打つのも』

「……」

無言で有希はきびすを返し、キョンくんもそれに倣った。

「なあ」

キョンくんはセーラー服姿の横顔に提案した。

「試合当日だがな、雨を降らせてくれないか。雨天中止になりそうな、デカイやつを」

「できなくはない」

有希は淡々と歩きながら言った。

「ただし推奨はできない」

「なぜだ?」

「局地的な環境情報の改竄は惑星の生態系に後遺症を発生させる可能性がある」

「後遺症ってどれくらい後だ」

「数百年から一万年」

遠い先の話だ。

「じゃ、やめといたほうがいいな」

「いい」

五ミリくらいうなずいて、有希は決まり切った歩調で歩き続けた。
その歩き方はそよ風に揺れる鈴蘭のようだった。
背後を振り返ると、ハルヒは制服のままマウンドに上がって、投げ込みを開始しているところだった。
ハルヒはがんばるね……

*

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