*SOS団
イレギュラー因子
*主人公side
『流石、豪華分譲マンション。オートロックからしてすごいね!有希の部屋けっこう広いの?』
コクンと頷くと「入って」とドアを引いた。
中へ入ると生活臭のない部屋が現れた。
「座ってて」
台所へ引っ込む間際にそう言い残し、部屋をぐるっと見回している間に有希がお盆に急須と湯飲みを載せてカラクリ人形のような動きでテーブルに置き、制服のままあたしの向かいにちょこんと座った。
急須の中身を湯飲みに注いであたしの前に置く。
「飲んで」
あちっ!
自分が猫舌ということをすっかり忘れていて舌を火傷したが、ぐっと我慢して有希が話し出すのを待った。
そして有希がさっきとは一変し、一年分くらいの量を喋った。
話しの内容は有希、みくるちゃんや古泉くん、それとハルヒのこと。そして私とキョンくんが無視できないイレギュラー因子であるということ……
信じきれてはないけど最後の「信じて」と言った有希は真摯な顔をみて、信じてもいいような気がした。
もし嘘であったとしても、これから楽しい学園生活が送れると思うと嬉しくて仕方がなかった。
『有希のこと信じてみるよ。お茶ありがと、美味しかったよ』
あたしは有希に別れを告げて自分のマンションへと戻った。帰り際に見た有希の顔はなんだか寂しそうに見えた。
明日、有希のお弁当作って行こ。
*
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