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企画小説
11月22日 -いい夫婦!-

ふう。
今日も疲れた。

俺は家に帰るなり自分の部屋に入って制服を脱いだ。
外の匂いと冷気が服についていて、なんだか嫌だ。

ああ寒い寒い。


「よーう」


コンコン

数回ドアをノックして部屋に入ってきた月は既にエプロンをしている。
晩御飯の支度をし始めているみたいだ。

エプロン姿が変に嫌味っぽくなくて、素直に可愛いと思う俺。


「どうしたの?可愛いかっこ、して」

「ん、っもう、違うってば…」


お前があまりにも可愛いから。

前から月のお尻に手を這わせてみたら、月は微かに頬を染めて俺を見上げる。


「…へんたい。そんな事されに来たんじゃないよ。…あのさ、今日は晩御飯一緒に作んない……?」


月の細い腰に腕を回して下半身(俺のは半勃ち)を押し当てていたら、そんな事を言うもんだから。

しかも潤んだ瞳でじっと見つめられたから。


…俺の雄はたまったもんじゃない。








「これはどうすんの?」


結局あの後、当たり前のように頷いた俺に顔を輝かせた月は、俺の手をキッチンまで引っ張っていった。

ぎゅ、て遠慮なしに握ってくる小さな手を俺も握り返して。


今は二人並んで仲良くお料理、だ。


「あ、人参は適当な大きさに切って鍋に入れといて。シチューだからさ」

「ふうん。分かった」


悩みながら人参に包丁を入れる俺とは対称的に、全て手際良く準備する月に今更ながらも感心した。


「なんか…、いつもごめん」


今までの色々な事を思い出してみて、ついそう呟いてしまった。

月はハテナマークを浮かべたような顔をしてから、ああ、と言って悪戯しそうな妙に色っぽい顔で笑った。


「オレが。したいから、してるだけだよ?」



うわ………やられた。


月はすっかり、俺の奥さんしちゃってるわけだ。


「…そっか。ありがとう」

「いーえー。お安い御用ですよ」


後ろから抱きしめて思いきり息を吸った。

通りでいつも食べ物の匂いしてると思った。


「どうかこれからも俺のご飯作っていって下さいね」


「ん、もちろんです」





end


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あきゅろす。
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