ね
ベッドの中―――
「月、ほら見てみな」
陽が、隣で寝てるオレを起こして、自分の手を上にかざして見せた。
「どう思う?」
「んー?…わかんない」
意味がわからん。
小さく首を傾げると、今度はオレの手を布団の中から引っ張り出して上に持ち上げた。
つつつ、と指先までなぞられて背筋を何かが通った。
「ん…っ、もう…」
「はは。かわい。」
でね、
陽が続ける。
「双子だけど、違うところはいっぱいあるんだって事だよ、月」
「手、違うの?」
「うん。全然違う」
陽の手の隣にかざして見る。
まず指の細さ。
陽の方がちょっとだけしっかりしているみたいだ。
よく見るとオレの指先は、洗い物をする人は必ず出来るひび割れがあった。
「ほんとだ…違う」
かざした陽の手が、オレの手を捕まえる。
きゅ、と強く握られて、指を絡めて…―――
仰向けの状態のオレの髪を、上半身だけ起こした陽の、もう一つの手が梳いた。
「無理に違うところを探さなくったっていいんだよ?」
柔らかく目を細めて、陽が顔を近付ける。
唇に重なった陽のそれは、すぐに離れていった。
やっぱりバレてたか…
オレが最近、陽との違いを必死に探していた事。
もう一度陽の頭をこちらに誘った。
今度は唇を割って侵入。
口内を探って、唾液を口の端から逃がす。
ちゅ、と音を立てて顔を上げた陽は少し淫らで
それでいて綺麗で…
「そうだね…陽、ありがとう」
おわり
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