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朝―――



「あー…。月ぃ、今日雨だ」


家のドアを開けて、陽は後ろで靴を履く月に声をかける。
月は顔を上げると少し考えるそぶりをして、一本の傘を手に取った。


「二本じゃないの?」



陽は首を傾げて月に聞くと、薄く染めた頬で月は言う。



「…いっしょに」

「…えっ?」



俯いて頷く月に、陽は顔をパァッと輝かせる。


「じゃ、俺が傘持ってあげる」


月から半ば強引に傘を取って、暗い空の下でそれを開いた。


まだドアの前でぽーっとしている様子の月に手招きして、傘の下に入れる。


「陽、ヤじゃない…?」



月は自分より少し上にある陽の目を覗き込んで、心配そうにそう言った。


陽は首をちぎれんばかりに振って、満面の笑みを浮かべる。


「嫌だったら俺笑わないし」

「あ、そっか」



思い出したように目を丸くした後、えへへと何やら不気味に笑ってニコニコしだす月。



「つきくん気持ち悪いですぅ〜」


「ようくんうるさいですぅ〜」


馬鹿みたいだけど、双子にとって幸せな一時。
そんな甘い空気をまといながら二人は雨空の中登校した。



お前らに近寄れなかった、と教室に着いた時月が友達に言われたのはまた別のお話…―――




おわり

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あきゅろす。
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