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モノクロツインズ
双子とケーキ

俺、陽には可愛い可愛い双子の弟、月がいる。

「陽っ。なんかおやつ作ってー」

今もそう言って背中に抱き付いてきた。

月の温かな体温が心地良い。

「何食べたいの?」

「んとねー、今日はロールケーキ!」

にこっと笑って言った月に俺も微笑んで、作る用意をする。

色んな材料は、いつでも棚にある。

何故かって?
月がいつ食べたいと言うか分からないから。

毎日頼まれても作りそうな俺。

かなり月には甘いよなあ…。

「ねぇ陽、クリーム沢山ね、沢山だよっ」

テーブルに置いた手の上にちょんとあごを乗せて、月は注文をする。

目がキラキラしてて、子供みたいだ。

月がクリーム好きの根っからの甘党なのは勿論分かってるから、ロールケーキの生地も甘く仕上げた。

俺が黙々と作っている中、月は嬉しそうに眺めていた様。

でも、少しすると声がしなくなった。

不思議に思って月をチラと見ると、テーブルに頭を置いて眠っている。

「んー…陽のばぁーか…」

どんな寝言だ、と軽く月の頬をつついても起きる気配はしない。

仕方ないから起きるまでに作っておいてやるか…。





「――…き、つき」

「ううん…陽……?あ、オレ寝ちゃって…、完成したの?」

肩を軽く揺すってやると、目をこすりながら月が顔を上げて。

それから柔らかく笑った。
寝起きのぼーっとした顔も可愛いんだよな、月は。

「出来てたけど、月の寝顔可愛くてなかなか起こせなかった」

頬を手で包みキスして言うと、月は俺に擦り付いてきた。

かっわいー。

あー…や、ばい。
寝てたからか月、いつもより大胆だ…。

「月……これ、食べよ?」

ロールケーキの乗った皿を月の目の前に持ってきて、首に腕を廻す月に言う。

「んふー…陽が食べさせてー」

うあー…
おねだりですか月くん。

食べさせてーって胸に抱き着いてくるもんだから、これは断れない。

「あーん」

休みの昼からこんな恋人っぽい事しててバチ当たりそうだ。

「…んふ、おいしー」

唇の端にクリーム付けちゃって…。
にこにこしながら、月はどんどん俺が口に運ぶロールケーキを食べていった。

「あれ?そういえば陽は食べないの?」

月は俺を見上げて目をくりくりとさせている。

「うん、月が幸せそうに食べてるの見るだけで俺は満足だから」

そう言うと黙って下を向いてしまった。
何か考えてるみたいだ。

「月?最後の一口だから食べて」

一口大のケーキをフォークにさして促す。
月は顔を上げてパクンと口に入れた。

かと思えば、俺は月に首を引っ張られてキスされてしまった。

じわりと溶けたケーキが月の舌によって俺の口内に移動する。

「ぷはっ、…ね、美味しいでしょ?」

月は楽しそうに笑ってみせる。

俺は何が起こったのか分からず、暫く瞬きを繰り返していた。

えーとえーと…
月がいきなりキスしてきて…
ケーキが口の中で…
あれ。
わけわかんなくなっちゃった。

とりあえず、自分の顔が真っ赤になっている事は理解出来た。

「わー、珍しく陽が真っ赤だ」

いたずらっぽく笑う月に、照れ隠しにもう一度キスした。

「えへへ…、ケーキ甘いね」

「うん……甘い…」

本当はケーキより、月の唇の方がすっごく甘かったけどね。





end



あきゅろす。
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