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モノクロツインズ
白猫と子猫

「みゃあ」

「は?」

「かわいーでしょ?」

ひょい、と腕に子猫を渡された俺は目を何回も瞬いた。

これは一体どういうつもりだ?

「あのね、落ちてたから」

落ちてた、てそんな小銭の事話すみたいに。

というか問題は…

「それで子猫お持ち帰りしちゃったの?」

「だめだった?」

「や…、駄目っていうか…」

顔を覗き見られてドギマギ。
近くに心配そうに開かれた唇があって。

今すぐに奪ってやりたい。

「面倒見れるの?」

「うんっ そんなのオレにかかれば簡単!」

ぴこぴこ

月の猫耳が動いた。
それを目で追う子猫がちょっと可愛くて、動物が全体的に苦手な俺でも飼うのいいかなって思った。

何より月が嬉しそうだし。

「絶対月が面倒見なよ?俺やだからな」

腕の中で幾度も落ちそうになっていた子猫の首の後ろを掴んで、月の腕に戻してやる。

幸せそうな顔しやがって。

子猫め…


「あぁ…そうだ」

イイ事を考えた。

「んー?なに?」

月も子猫も反応して、俺の顔を見る。


ちゅぅ


「…っちょ、ば、か…なにすんだ」

「みゃー」

「もぉ、さいあくだよ陽っ、モチ子に見られたじゃんか…」

子猫、いや、モチ子という何とも言えない名前を付けられた奴は、俯いた月の前髪に前足を絡めようとする。

ちょいちょい、と時々見える月の顔は真っ赤だ。

「ふぅん…?猫に見られて照れるの」

「…ちがうもん。ちょっと恥ずかしかっただけだし」


ばかじゃないの、て言って背を向けた月を適当に床に倒した。

モチ子は軽く着地したけど月は仰向けか俯せか分からない変な格好で派手にこけた。

「いっ…た…、なん、…」

「じゃ、さ、モチ子の見てるとこでも……デキルんだよね?」

そう言ってやると、月は、顔を益々真っ赤にさせちゃって。

唇を結んだ。

こっくりと頷いた強気な恋人の顎を持ち上げて

ゆっくり重ねる。


二つの影の隣で子猫が首を傾げるようにして見ているような気がしたから。

俺は子猫を振り返って口の端を上げた。


「モチ子、お前の主人は昔から俺のだよ?」




残念でした、


身じろぎする月の衣服をずらしながら、そう呟いたけど、ちゃんと聞こえたかな。


俺も結構

子供っぽいみたいだ。






end



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