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モノクロツインズ
白猫のある夏の日

月は可愛い。

俺はまた最近月が好きになったようだ。
ほんとあいつ男に見えない。

「よう、」

今人気のドラマをリビングで観ていると、月が俺の前に立った。

「ちょ、テレビ見えない」

そう言いながらさりげに月を後ろ向きにして膝の上に乗せる俺。
すると月は満足気に俺にもたれる。

「やっぱり落ち着くー。オレ、こうしたかった」


うん。
こういうとこが可愛いよねこの人。

月の腹の前に腕を回して、月の肩ごしにテレビを観る。
ちょっと観にくいけど幸せだからいっかな。

「あ、そだ陽。これ知ってる?」

「んんー?」

月が俺の手首より少し手前を握る。
なんだ?

そしたらその力がいきなり強くなった、あれ、痛い痛い!
いたたたた!
月意外と力強いな…!

「ほら見てっ!指!グーになるだろ?」

「…うん。なったね」

「…ばあーか!面白いだろ、って話なんだよ!」


はわー…。
可愛すぎて思わず抱きしめた時に、ちょうど母さんが帰ってきた。
仕事が昨日終わってさっき買い物行ってたんだった。

で…。
俺達の今の体勢見ても、ただいまーって言っただけで何も口出ししない。
母さんは俺達の事を認めてるのか、別に気にしてないのか気になるところだ。

「ん、陽…。母さん帰ってきたから…オレこっから降りる」

「あらら月残念。私は別に気にしてませんよー。っふふ」

台所から顔を覗かせて母さんがそんな事を言ってくれる。

月は俺の膝から降りようとしてた中途半端な体勢から、また膝に座った。

「やったね、月」

そう言ってやると、ほっぺ赤くした月がふにゃぁって笑って俺は月に殺されるかと思いました。

そして俺は懲りずにムラムラ。
思春期だし仕方ないよな。

服の中に手の侵入を成功させて、月のへそ辺りをお触り…。
すべすべー。

「なにしてんの」

怪訝な顔をした月が振り向いた時を見計らって鼻ちゅーしたら怒られた。

それぐらいしたっていいじゃん。

「はいはい陽、月。母さんの前でイチャイチャはほどほどにねー」

「ちぇー。もうちょっとで乳首だったのに」

ブーイングしながらみぞおちまで滑らせた掌を、わざと腹に円を描くように戻すと月が可愛い反応を示した。

「ひゃっ、ばか陽!早く離せ…!」


ポコッ


「ぃたっ」

軽い音と軽い痛みの元は母さんが握った雑誌だった。
握った、というより手の圧力で潰されて筒状になった雑誌と説明する方が的確かもしれない。

「こら陽。月の嫌がる事はしちゃだめ。お兄ちゃんでしょ」

え。えぇ…ッ
…うわ〜…

この年になってお兄ちゃんでしょ、て母さんに怒られるなんて思わなかったな俺。

恥ずかしー…。

「陽お兄ちゃん?ふふ、離して?」

クスクス笑う月を赤くなってしまった顔で睨んだけど、全然効いてない。

「陽真っ赤。かわいー」

その証拠に月にそんな事を言われてしまった。
これはかなり恥ずかしい…。


急に掛かってきた電話を母さんが取りに行った。
母さんの反応からすると仲良しな友達さん?みたいだ。
これは長くなりそうだな、と思っていると月が今度こそ俺の膝から降りた。

まだ残ってる月の体温。
いつも思うけど、月のこの体温はすごく心地いい!

とか何とか考えてたら、月が俺を振り返っていきなり…
ちゅー……ッ…!

あ、今のは決して俺がネズミになったわけじゃなくって、月が触れるだけのキスをしてきたんだよ…!

母さんいるといっつもしてくれない月が!
やば、俺感涙しそうだ……



「トマトみたいなお兄ちゃんもすーき」



がばぁっ!

付けるならそんな感じだろう擬音。

俺は無意識のうちに月を腕の中に閉じ込めていた。
今のはヤバイって!
俺「お兄ちゃん」て呼ばれるの好きって分かって言ったなコイツめっ!


「うわぁっ、びっくりしたなあもう…!」

「ごめん、俺、萌え死ってやつしそうなんだけど」

ハテナマークを浮かべた月にアツーイちゅーをお見舞い。
トロトロ〜な月の舌を味わおうと思ってたのに……!

俺はかなりタイミングが悪いみたいだ。

長いだろうと思っていた母さんの電話はもう終わって、勿論俺達のあららなシーンを見られてしまった。

「あらまあまあ……」

「…っにょわぁぁあああ!!!!」

可愛いのか変なのか分からない声で叫んだ月にビンタを食らわされた。

な…
なんで俺がこうなるんだ……ッ!!?



その後しばらく母さんにこの事をネタにして弄られた。
おまけにセクハラ禁止令とかいう法令(って言わないか)も月に免じられてしまった俺。

我ながら可哀相だと思った
暑い夏の日―――…





end



あきゅろす。
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