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さくらんぼ兄弟
第四話…5

突然会場にアナウンスが入った。

『えー、これから体育祭午後の部を始めます!プログラム1番はみなさんお待ちかねのお助けレースです!』

会場内の盛り上がりはピークでライブハウスのようだ。
もうすぐスタートすると考えると緊張してきた。
どんなレースなのか詳しくわからないが目指すのは心尋先輩と同じ、優勝だ。

『それでは準備はよろしいでしょうか!』
『よーーい………スタート!!』

お助けレースが始まった。
しかし選手は走り出すのかと思いきやその場に止まったままだ。
あれ?何故スタートと言われたのに進まないのか…
何が起こったのか分からないでいるとお助けレースのコース外から全身真っ黒い服装の黒子と思われる人が何人かこちらに近づいてきた。
何事かと思ったが周りの人も皆それを見ているだけだったので俺も見ていると、黒子たちが二人組になって各ペアの元へ行った。
するとその黒子二人は俺のことを見るといきなり抱き上げてきた。

「え、ちょっ…なに!?」

俺だけじゃなく颯斗や律も抱き上げられていた。
そのまま少し離れたステージまで連れていこうとしている。

「な…なんなの…!?」
「歩!すぐ助けるから!」

もしかして、お助けレースってこういうことなのか?
ステージまで連れていかれると隣の人とは低めの仕切りで区切られているところに下ろされる。
俺の隣には颯斗がいて何事かとそちらを見ると、視線に気づいたのか颯斗はこちらを見て苦笑いをした。
どういう意味なのか全くわからない…
スタート場所を見ると心尋先輩達はまだスタートしていなかった。
すると一人の黒子が手に何かを持って近づいてくる。
何を持っているのかよく見ると銀色に輝く手錠だった。

「え…なんで!?颯斗!」

手錠を見て怖くなった俺は隣の颯斗に助けを求めるように言ったが、颯斗は何も文句を言わず手錠を受け入れていた。
颯斗だけではなく律も他の人達もすでに手錠をかけられていた。
は?と思っていると一人の黒子に手を後ろに回されもう一人の黒子がその腕に手錠をかけた。
手首に冷たい感触が広がる…手錠なんて初めてだ…
何でこんな事になっているのか分からないでいるとまたアナウンスが入った。

『さぁ準備ができたようです…囚われた相方を一番最初に助け出すのは誰か!それではみなさん、スタートです!』

そうアナウンスが入った瞬間心尋先輩達が走り出した。
それと同時にタイムを計る大きな時計も動き出した。
なんとなくルールは分かった…囚われた相方を助けるために手錠の鍵を探すというレースらしい。
それで心尋先輩は俺は何もしなくても大丈夫と言っていたということだろう。
なるほど…
でも鍵を探すのは結構大変そうだ。
謎解きもあればパズルゲームのようなものまである。
一見地味だが大丈夫なのだろうか…
それとステージの前の方にたくさんの生徒が集まっている。
心尋先輩たちの活躍を見ればいいのに不思議だ。

ふと時計を見ると残り数秒で1分が経とうとしていた。
それと同時にアナウンスが入る。

『さてさて、1分が経つ頃です!黒子さんたち、お願いします!』



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あきゅろす。
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