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さくらんぼ兄弟
第四話…2

「心尋先輩」
「やぁ。あ、誰か来てるの?」

心尋先輩は玄関に置いてある靴を見て言った。

「颯斗なので大丈夫です。上がってください」
「ありがとう」

よくこの3人で会うなと思いながら心尋先輩を招き入れた。
颯斗も"ちわーす"と挨拶をして全く嫌とは思っていない様子だった。

「心尋先輩、どうしたんですか?」
「お助けレースの優勝賞品が決まったんだ」
「おぉ」
「ふーん、今年はお助けレースが勝負部門なんですね」
「そうなんだ。それで優勝賞品なんだけど…海の見えるホテルに一泊二日の旅行券になったんだ」
「旅行券!?」

驚いた…学園の、ただの体育祭なのにそんな景品がつくなんて…
お金持ちの学校はやることが違うなぁと改めて思った…

「凄いですね…」
「頑張って優勝しようね」
「はい!」
「ん…??歩、出るのか?」
「うん。心尋先輩と一緒に出る」
「マジか!?」

颯斗は物凄く驚いていた。
そんなに驚くことなのか…お助けレースがどんなものか知らないから全く分からない。
颯斗の反応を見て少し不安になったがこの種目も自分が出ると言ったのだ。
断るわけにはいかない。

「そういえば、りっちゃんも出るらしいよ、お助けレース」
「律が…」
「なんか初めての高等部での体育祭だから気合入ってるみたい」

律は小さい時から目立つのが好きだったから出ることには驚かなかった。

「あと、颯斗も出ると思うよ」
「颯斗が?」
「えっ…なんでですか?」
「勝がエントリー用紙に自分の名前と颯斗の名前も書いてた」
「マジですか!?」

本日2度目の颯斗の驚き。
心尋先輩と2人で笑ってしまった。

「どんまい颯斗!お互い頑張ろうね」
「おう……つか、歩も仮装レース頑張れよ」
「あぁ、うん…」

忘れていたそれを思い出し颯斗と一緒にテンションが下がる。

「歩…仮装レース出るの?」
「はい…半ば無理矢理…」
「それは心配だな…」
「大丈夫ですよ、仮装して走るだけなら」
「まぁ、そうなんだけど…」

心配というか不安そうにも見える心尋先輩。
そういえば、仮装レースの衣装を決めるのは生徒会と言っていた。
衣装のリクエストは生徒達から受けるらしいが、去年いなかった俺にはどんなのがあるのか分らない。
心尋先輩の反応を見て自分も不安になってきた…

「まぁ…頑張ります…」

そして約3週間後、体育祭当日。



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