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さくらんぼ兄弟
第二話…5

次の日の朝、いつもと変わらないように桜庭が部屋に来た。
昨日はいきなり走り出した事を謝る。
桜庭はそんなに気にしていないようで、あのあと勝兄が桜庭に用事があったらしく二人で話したそうだ。
俺は律に会った事を話した。兄弟とバレないように"鬼沢会長の弟の鬼沢くん"と言ったら笑われた。

そんな感じでいつものように楽しく登校したがクラスに入った瞬間、その楽しは一瞬にして無くなった。

「なんだ、これ…」

そう言ったのは桜庭だった。

黒板には悪口や暴言などキツい言葉が俺宛に沢山書かれていて、机にもペンでいろいろと書かれていた。
生徒達は見て見ぬ振りをする人もいたりクスクスと笑う人もいた。

俺は虐めが再開したと気付くのに時間がかかった。
考えてみたらそうだ。
虐めは無くなっていたわけではない。物理的なのが無くなっただけで嫌われていた事は変わりなかった。
悪口の中には心尋先輩の名前以外に律と勝兄の名前もあった。
つまり昨日、この学園の人気者トップ3の人達と話したことにより、それを見ていた親衛隊の誰かが噂を広めて虐めが再開したのだろう。

「りっちゃんの親衛隊か…勝会長のは誰が書いた…」

俺の隣で怒る桜木。
今にも叫び出しそうだったので俺はそれを止めようとした。

「桜庭!俺、黒板の消すね!」
「桜木…おい」

何かを言おうとする桜木。言いたいことは分かっている。
でも犯人を突き止めたとこでそれは一人じゃないから今犯人探しをしてもきりが無い。
今はこのあとの授業のために黒板と机を綺麗にするのが先だ。

「チッ…」

桜木は舌打ちをしたあとに黒板を綺麗にするのを手伝ってくれた。

授業が始まってからも虐めはなくならず、消しカスを投げられたりと幼稚な虐めもあれば、机の中から取り出した教科書は使い物にならなくなっていたりと酷いものもあった。
早く昼休みになってほしい…いつも笑顔の心尋先輩に会いたい…

四時限目の授業が終わり昼休みになる。
桜庭は俺の事を心配していたがいつものように心尋先輩が来るので大丈夫だろうと、いつも一緒に昼を過ごしている人達のところへ行った。

俺はいつもみたいに心尋先輩が迎えに来るのを席で待っていた。
しかし10分以上たっても心尋先輩は現れない。
可笑しい。いつもならすぐ来てくれるのに。
何か用事があるのかと思い探しに行こうと席を立った瞬間、

『ちょっと…いいかな』

目の前に現れた同じクラスであろう生徒に声をかけられた。
警戒して相手を見るがこの人は前から俺を虐めてくる奴だ。
こいつに呼ばれて付いて行くなんてきっといい事なんてない。
しかし彼の言った一言で付いて行かざるを得なくなった。

『橘花副会長は来ないよ』




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