りょーじょくアリス 会長と…1 『アリス!さっき会長様が”来い”って言ってたぜ』 「うるさい…アリスって呼ぶな。俺は有澄(ありずみ)だ」 後ろの席の幼馴染みと話しているとクラスメイトの1人がそう言いながら教室に入って来た。 そんな事大声で言うと教室内にいる連中から注目されるからやめてほしい… 現に反応してしまった奴らがこちらを見ながら小声でざわざわと話し始めた。 『すげぇなー、また会長様に呼ばれるとか』 『羨ましいよなー』 "様"を付けてまで呼ばれる生徒会長は男だらけの学園内で1番人気が高く生徒から好意を持たれ親衛隊までいる。 顔よし、スタイルよし、頭よし、家柄よしと非の打ち所がない程完璧な男だ。 しかしあんなクソ会長の何処が良いんだか俺には全く分からない。 今回の呼び出しだって決して良い事では無いし楽しい事でも無いのだ。 皆あの会長に騙されてんじゃねぇの… 「龍も羨ましいって思う?」 先程まで一緒に話していた俺の幼馴染みでかなり世話になっている卯月龍(うづきりゅう)に聞いてみる。 だが見るからに興味無さそうに委員会の仕事なのか書類にペンを走らせていた。 「俺は、別に…アリスの方が心配だよ」 「心配?」 「何て言うんだろうな…危ない雰囲気出てるから」 「何だそれ」 顔を上げて話す龍の言葉にお互いに笑いながら冗談交じりに会話をする。 いつも忙しそうに委員会などの仕事をしている龍だがこうやって話している時は疲れていても楽しそうに笑ってくれる。 基本、誰とでもすぐに仲良くなれる人懐っこいタイプの奴だ。 俺は幼馴染みとか関係なく心を許して話せる唯一の親友だ。 しかしそんな龍にも言えない事がある。 絶対に龍には言えない。 さっき俺を呼び出したという会長との事… 世話になった龍にはあまり心配をかけたくないので内緒にバレないようにしているが先程心配だと言われてしまった。 理由は曖昧だったからバレてはいないんだろうが、何の委員会にも入っていなくて転入してきたばっかの俺が会長に何度も呼び出される事に不信を感じているだろう。 バレるのは時間の問題かもしれない。 だが、それでも俺は、今夜も会長の部屋へ行った。 「お前…ノックぐらいしろよ」 「鍵あいてたから」 会長の部屋へ入ると風呂から上がったばかりなのか上半身裸でタオルを首にかけている会長がソファーに座りテレビを見ていた。 こちらに気付き誰が来たのか確認すると再び顔をテレビへ向けた。 俺は当たり前のように会長の隣に座りテレビを見た。 それにしてもいつ来ても広い部屋だ。俺達普通の生徒の部屋とは全然違う。 この学園は全寮制で基本は2人共同の部屋だが生徒会の人たちは1人1部屋与えられその部屋の広さも一般生徒の5倍くらいある。 無駄に金持ちが集まる学校だけあって一般生徒の部屋も他の学園よりは立派なんだろうが…やはり生徒会は格が違う。 そんな事を思いながら見るテレビは全く内容が頭に入ってこなかった。 だがこの状況は周りから見たら仲良くテレビを見ている恋人同士のように見えるかもしれないが決してそんな良い関係ではない。 俺はこの人から逃げられない。 「なあ」 「なに」 「チッ…敬語使えよ、俺先輩」 「誰がアンタなんかに…」 「可愛くねぇ奴だな」 会長は隣に座る俺の肩を押しソファーに押し倒すと乱暴に口付けてきた。 素早いその動きに抵抗する暇がない。 固く閉ざした口を無理矢理開かされ口内に会長の舌が入ってくると舌を絡め取られてディープキスをされる。 必死に離れようと会長の肩を押すがこの人相手に力では勝てない。体格が全然違う。 「ふ、う…やめっ…」 必死になって顔を逸らすとやっとキスから逃れられたが俺を見下ろす会長は少し怒っているようだった。 「ほんとキス嫌いだよな。抵抗するくせに何で来るんだよ」 「それはっ」 「あーそうか、俺が撮ったヤツばらまかれたら困るもんな」 「ッ…」 キスは嫌いだ。恋人同士でもないのにキスなんかしたって意味はない。 俺が逃げられないのは…恥ずかしい姿をたくさん形にして残されているからだ。 なんて、そんな事を理由にしてここに来るのは最初だけで今では会長無しでは満足にイく事もできなくなっているからだ。 会長だってそれに気付いているはずだ。 顔だけが目当てで俺を抱いた会長は逃げられないよう写真を撮っていたが呼ばれなくたって部屋を訪れた事もある。 身体だけが目当てなのだ。 お互いに他の誰かを選ばずにこの関係が続くのは恋が面倒だと思っているからだろう。 だがこんな関係が学園に…とくに龍に知られるのは嫌だというのは変わらない。 だからたまに写真を餌に俺を釣る。 「ま、体の相性は良い訳だし。淫乱で普通のセックスじゃイけないのは何処のどいつだろーな」 「………」 「大人しく脚開け」 [次へ#] [戻る] |