りょーじょくアリス
教師と…1
「ねぇアリス、今度の休み暇?どっか出かけようよ」
「出かけるって…学園から出ていいの?」
「鬼崎会長と寮長には許可もらったよ」
「さすが龍…」
学園中に顔が広い幼馴染みの龍は俺の知らない人とも仲が良く、明るい性格と真面目さから信頼もされている。
龍はよく俺に”危ない雰囲気出てるから気を付けなよ?”とか言ってくるが俺的には龍の方が心配だ。
この男だらけの学園に同性愛者が多い事を純粋なコイツは気付いているのだろうか…会長だっていつ手を出すか分からない。会長だけじゃなく先輩とかにも危ない奴はいる。
俺もよく話しかけられる。
心配だ…
「………って、聞いてんの?」
「え、あぁ…ごめん」
「もうしっかりしてよ。何処に出かけるかって話」
そう言えばその日は会長に呼び出されていた気がしたが…無視でいいだろう。
その日は昼飯を食べてから買い物をする事にした。
暫く話は進み何処に行くかも決まったので寮へ帰ろうとした頃、放課後の教室に一人の先生がやって来た。
「おい、有澄はいるか?」
自分の名前を呼んだ人の姿を見て眉間にしわが寄る。
だが他に教室に残っていた一部の生徒からは"キャーっ服部先生!"等と黄色い声が上がった。
この人も会長と同じく顔はいいかもしれないが何故そんなに生徒から人気なのかは分からない。
数学担当の服部先生…最近授業はサボりがちだったので久々に見る気がする…
「アリス…どうすんの…?」
龍は俺が服部の事を嫌いだと知っているから眉を八の字にさせ心配そうに聞いてくる。
「……逃げる」
逃げるしかない。
猪苗先生のおかげで体調不良という事で通してくれていたが、そろそろバレるんじゃないかとは思っていた。
まだバレたと決まった訳じゃないが服部はどう見ても怒ってる気がする…
「またあとで、連絡する」
「うん…気を付けて」
そう龍に小声で告げてから俺は教室を走って出ていった。
後ろから「有澄待ちやがれ!」と服部の怒鳴る声が聞こえてきたが気にせず走った。
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