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眩むような。
※山ノ井独白。
以前見たいと言っていただいた積極的な山ノ井のつもり。








唇を薄く開くと自然と長い舌がぬるり、と入ってくる。いつもと同じ。
舌を絡め取られて吸われる動きに合わせて自分からも絡める。

裕史とのキスは初めてした時から驚くほどぴったりと、吸いつくように、まるで元々ひとつのものだったんじゃないかと思う程相性が良かった。だから離れられない。触れられたところは全部、気持ちがいい。おかしくなりそうなんだよ。本当はね?

今更甘い言葉を囁き合うのは恥ずかしいから、オレはキスしてる時お前のことが好きなんだって、そればかり思いながらするよ。
合わせた唇からそれが伝わればいいのにと。背中に回す腕でわかってほしい。


でも、たまには言葉だって必要なんだろうって思う。


息継ぎの合間、唇が少し離れた時、好きだって言ってみた。自分の声は驚くほど掠れていて、好き、までしかきちんとした音にならなかったけれど。



再び目を閉じる直前に見た裕史は、驚いたような表情をしていた。






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