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※延々と続くだけ
※口でしたりとかしてます。
短い呻き声が上から降ってくると同時に口の中いっぱいに苦いものがじわりと広がった。
構えてはいたけどかなり奥まで咥え込んでいたせいで息が詰まって、更に最悪なことに鼻の方に入りかけたので慌てて鼻を啜った。
この場面で鼻から出すとかマジありえねえだろ。いくらなんでも笑えねえわホント。
えづいたせいで目に涙は滲むし、鼻の奥はツンと痛い。最悪だ。
今まで口でしたことは途中までなら何度かあったけど、飲むのは初めてだった。
先走りを舌に絡めているうちはそうでもなかったのに、コレは苦い。なんつーか本気でマズイ。
好きなヤツのだったら美味く感じたりしねえのかなァとか思ったけどそんなことあるわけもなく、やっぱり耳にしたとおりの味だった。
吐き出したい衝動をこらえ、何度かにわけて出されたそれを全てゴクリと飲み下す。
一滴も残したくなかったから最後に先端をちゅうっと吸って唇を離すと、まだ少し息の荒い裕史が髪をくしゃっとしてきた。
見上げると、細められる瞳。
ああ、オレの好きな顔だ。
「…どした」
普段よりも幾分掠れ気味の低い声で囁かれて背筋がゾクリ、と震えた。
抑えて、何が?と答えると「何で急にやりたいとか言い出したんかなって」と問われた。
口で最後までしたい、と言い出したのはオレだった。
何で……だったっけ?
ああ、確か先週、中に出された裕史のを処理しながら、ぼんやりと思ったんだ。
「オレの体にはなんも残んねえからさ、せめて吸収してやろうと思って」
さらりと言ったこの一言に、裕史の表情が一瞬強張った。
あ。裕史、ヒいたんかな。
別に悲観したわけじゃあない。
ただなんとなく、オレにも何かが残ればいいなあって、そう思った。子を成したいだとかそういう具体的なことじゃなくって、きっと何でもよかった。
ふと湧いた考えはいつもの気紛れに近いものだ。
風呂場の排水溝へと流れていくそれを見ながら、気がついたら「勿体ね…」って呟いてた自分を、自分達の関係を、無駄じゃないのだと証明できるのなら。
それは裕史のためなのか、オレのためなのかはわからないけど。
だって。
繋がりがあれば終わりはない、なんて保障はない。
どうかしてる。
どうかしてた。
「好きだよ」
ボソリと呟いた裕史に急に頭を引き寄せられて額が肩にぶつかる。
そのままの体勢で顔だけでもあげようとしたら、腕が巻きついてきて表情を見ることを拒否された。
今、どんな顔をしてるんだろうか。
普段はお互いあまり言わないその言葉を今言うしかなかった裕史のことを考えながらオレは、肩に頭をあずけたままそっと目を閉じた。
卒業まで、あと6日。
(その日を堺にオレ達は、別々の場所で生きることになるのだ)
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