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微妙。




「誘われたら嬉しい?」


部屋で二人、なんとなくダラダラと過ごしている時だった。
唐突に投げかけられた質問に、意図をはかるため暫し思考を巡らす。
主語がないぞ主語が……。
それでも言いたいことがなんとなく伝わるのは、長く傍にいたからに他ならない。


「あー…どうなのよ山ノ井さんは」
「?」
「男として……カワイイ子に誘われたらやっぱ嬉しくね?」
「……まあ嬉しいね」


ちょっと考えて小さく頷いた山ちゃんは、そのままオレのとこまで寄ってくると投げ出していた足を跨ぐようにして膝立ちになった。


「残念ながらオレはカワイイ女の子じゃないけど」


言いながら顔を近づけてきたので同じようにして唇を合わせる。
いやあ、男だろうがオレにとってはカワイイんですけどね。
……なんて言って機嫌を損ねるのも得策ではないので心だけに留めておく。


「モンダイない。でもさ……」
「ん」
「どっちかつったらコレ襲われてないすか」


掴まれた胸倉。
しなだれるというよりはただ体重をかけられて押しつぶされてるような気分。


「誘うならもっと色気出してくんねえとさあ……」
「そんなもんねーもん」
「いや、山ちゃんなかなか魅力的よ?」
「……そりゃどーも」


にっこりと笑いながら大して嬉しくもなさそうに答える山ちゃんの腰を引き寄せてぎゅう、と抱き締める。

マジなんだけどね…?

抑えていたものが堪えきれず肩口に顔を埋めて誤魔化そうとしたけど、山ちゃんの体がぴくりと反応した。


「……なに笑ってんの」
「いやあ……つうかさ、」







「してえんだ?」
「……」


ニヤニヤしてしまう口元を隠しもせずに顔を覗き込むと山ちゃんがふい、と視線を逸らす。
…うん。やっぱこういう自然な仕草のがポイント高いですて。
普段絶対見られない仕草も二人きりなら拝めるなんて、ちょっとは調子に乗っても罰が当たらんだろうと思う。



「別にこんなんしなくてもフツーにしたいって言やいいじゃん」
「……たまにはこういうのも悪くないかなって」



マンネリ防止?なんて言ってニッコリ笑うもんだから。

「じゃあ今度はシャツ一枚で上目遣い気味に「裕史抱いて…?」でお願いします」

そう返して、山ちゃんの口が憎らしい言葉を紡ぐ前に唇を塞いだ。





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あきゅろす。
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