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Novel
催眠効果?
「真田、こっち向いて」
「何だ?」
幸村は糸の付いた五円玉を取り出し、真田の目の前で揺らし始めた。
「あなたはだんだんムラムラする〜あなたはだんだんムラムラす〜る〜」
「・・・何の真似だ、幸村」
「んーやっぱ効果なしか。真田みたいな堅物にこんな子供だましは聞かないだろうとは思ってたけど」
さして期待もしていなかった、と幸村は椅子の背に体を預ける。
「当たり前だ。そんなものに惑わされるなど言語道断だ」
フン、と真田は腕組みをする。しかし幸村はこんなことくらいで引き下がるような男ではない。真田に揺さぶりをかける。
「だってこんな子供だましに頼りたくもなるよ。こうでもしないと真田の方から俺にアプローチをかけてくることなんて一生無いでしょ?」
「き、急に何を言い出すんだお前は」
これは効果があったらしい。真田は明らかに動揺している。相変わらず真田はこの手の攻撃に弱い。
「だって俺たち中学生だよ?思春期なんだよ?好きな人とイチャイチャしたいと思うのは当然だろう。それなのに真田ときたら・・・・」
「・・・・」
ぶつぶつと文句を言ってみるが真田は腕組みをしたままだ。何か考えてはいるようだが、特に行動する気配はない。
「しょうがない。そんな真田に俺がチャンスをあげよう」
「む・・・チャンスだと?」
「うん。俺の機嫌を損ねない方が身のためだと思うな。俺のことが好きだったら何をすれば良いかはもちろん、わかってるよね?」
「そう、だな」
以外に素直な反応に少し拍子抜けしてしまった。そんなことを考えているうちに真田が決心したのか、遠慮がちに俺の腰に手をまわしてきた。ただ俺と目を合わせないように反対を向き、耳まで赤くなっていた。
「ふふ、本当に真田はかわいいね。欲を言えばもっと大胆な行動を起こしてくれてもよかったんだけどな」
そう言いながら、真田と同じように俺も真田の腰に手をまわす。
「ゆ、幸村、これ以上は」
「そんなに緊張されると俺が真田をいじめてるみたいじゃないか」
実はさっきの催眠術にかかっているんじゃないかと思うほど、今日の真田は素直だった。いつもだったらたるんどる!なんて言いながら逃げるのに。素直な真田にすっかり毒気を抜かれてしまい、逆に俺の方が動揺していた。
「まぁ、今日はとっても素直な真田に免じてこれで許してあげるよ」
言い終わると同時に真田の頬にキスをした。



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