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Novel
君の隣に
「とっとと片付けんぞ、三木」

名前を呼んでくれたあの瞬間から、僕はこの人からもう二度と離れないと心に決めた。そして思い出したんだ。自分の命を張ってまで他人を助けるなんて大それたことを当たり前のようにやってのけてしまう彼に、僕は憧れたんだということを・・・・・


「うおーい男鹿ー」
「何だよ古市、うるせぇな」
「ほれほれ、やるねぇモテ男っ 焼けちゃうなぁ」
男鹿は古市が差した方を面倒臭そうに見た。するとそこには恥ずかしそうにうつむき、上目遣いでこちらの様子をうかがっている三木と目があった。男鹿と目があった三木は嬉しそうにこちらへ歩いてきた。
「や、やぁ。元気か?」
「ああ」
「その・・・良かったら今日一緒に帰らない、か?」
「ヤ・ダ」「ダッ」
「そうか」
どうしてこう、三木という男はわかりやすい男なのだろうか。男鹿に断られてあからさまにシュンとしている。
「おまえも毎日毎日めげないなぁ。断られるって分かってんだろ?健気だねぇ」
「・・・なんだその言い方。自分は毎日男鹿君と一緒に帰ってるからって。自慢か?」
「そんなわけあるかぁぁ!!どーせならこんなむさ苦しいヤツよりヒルダちゃんとか見目麗しい女子と帰りたいわっ!!」
「おい古市、帰るぞ。おまえも帰るんだろ、三木」
「!! あ、ああっ帰る、今すぐ帰るっ」
・・・三木の背後に「ぱぁぁっ」という効果音が見えた気がした。
 
 帰り道
「古市君、君はずいぶんと男鹿君と近くないか?」
「はぁ?一体お前は俺をなんだと思ってるんだよ・・・」
「ライバル」
「がぁぁぁ!!何でだよ!んなわけねーだろ、お前の目は節穴か?てかもう、勝手にやってくれよ。俺を巻き込むな」
「そうか。ところで男鹿君」
「あ?」
「一緒に下校という勢いに乗って、僕のことを久也と呼ん」
「呼ばないしキモい」「アダッ」



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