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Novel
仄かに甘い
「ジャッカルー、何か食いもんー」
「ねぇよ」
「ケチ」
「ケチとか言うな」
すっかりこのやり取りが俺達の挨拶として定着していた。
「そだ、今日は何がなんでもケーキバイキング付き合ってもらうから覚悟しとけっ」
「はぁ。強制かよ」
「おう!」
「ったく俺の都合も少しは気にしろよ」
「ジャッカルの今日の予定は俺に付き合うことだろぃ。よって何の問題も無し」
「参った、参った。もう何も言わねぇよ」


「相変わらずよく食うな」
本当にコイツはよく食う。見ているこっちが胸焼けしそうだ。一体この体のどこにケーキが入っているんだか。
「当たり前だろぃ。人の金で食うケーキはいつも以上に美味いしな」
「・・・俺がいつ奢るって言った?」
「冗談だって。ジャッカルも俺が食ってんのばっか見てねーで食えよ」
「いや、俺はいいよ。それに俺があんまり甘いもの食わないの知ってるだろ」
「まぁ、そうだけどさ。・・・今日お前の誕生日だろぃ」
「! 覚えてたのか」
「そりゃあ、好きなヤツの誕生日くらいは・・・・・・俺だって」
「ありがとよ。そう言ってくれただけで嬉しいよ」
「だぁっ!そういう訳にもいかねーだろぃ。しょーがねぇな」
そう言うとブン太は身を乗り出して俺のネクタイを引っ張った。と思った瞬間、ブン太の顔が目の前にあった。
「んっ」
「何すんだっいきなり」
「お前がケーキ食わねえって言うからおすそ分け。やっぱ誕生日と言えばケーキだかんな!」
「ホント、お前と居ると飽きねぇな」
「今更気付いたのか?やっぱジャッカルはジャッカルだな」
「どーいう意味だよ、それ」
「でもこれではっきりしたろ?お前は俺の傍にいなきゃいけないってこと」
「ハハッ 確かにそうかもな」



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