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Novel
お前の体温
病室。
俺は脚が自由に動かせないからか、考え事をすることが多くなった。足の状態、サッカーのこと、エイリア学園との戦い、みんなのこと、そして吹雪のこと・・・
一人きりだとサッカーが出来ない苦しみで頭がおかしくなりそうだ。もし、吹雪と一緒にサッカーが出来なくなってしまったら?そう考えるだけで闇に引きずり込まれそうになる。みんなが今この時もエイリア学園との戦いの中にいるってのに、俺は・・・

コンコン。不意に病室のドアがノックされた。

「やあ、染岡君お見舞いにきたよ。」
ドキリとした。久しぶりに見る吹雪にどうしようもなくドキドキする。すぐにでも抱きしめたいという衝動を必死にこらえた。吹雪には悟られないように返事をする。
「おう吹雪。久しぶりだな。」
「どう?足の具合は。」
「もう全然平気だぜ。体を動かしたくてウズウズしてた所さ。」
ついコイツの前では見栄を張ってしまう。本当は弱音を吐いてしまいたい。

「良かったぁ。染岡君が怪我した時、僕心臓が止まるかと思ったんだよ?すっごく腫れてたし、もう一緒にサッカー出来なくなっちゃうって思って・・・」
吹雪は今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
「なんだよ吹雪。俺はこうして元気だし、すぐにサッカーだって出来るようになるさ。」
俺はそう言って吹雪の髪に触れる。コイツの髪はふわふわしていて触るととても安心する。
「うん、そうだよね!」
「お、おい。吹雪?」「 安心したら気が抜けちゃって。そばに行ってもいい?」
そう言うと吹雪は俺のベッドに入ってきた。俺にしがみつくように胸に顔をうずめている。
・・・。
(だぁ!!これじゃあせっかく隠してた心臓の音がコイツにばれるじゃねぇか!!)
そうは思いながらもこのチャンスを逃すわけにはいかない。恐る恐る俺は吹雪の背中へと腕を伸ばし、そっと抱きしめてみる。
「えへへ。嬉しいな。染岡君に抱きしめられちゃった。」
「!!!!!」「お前、てっきり寝たのかと・・・ べ、別に俺はちょうど良い抱き枕があるから抱き心地をだな・・・」我ながら最高に恥かしい言い訳だと思う。
「ふぅん。じゃあ僕は染岡君専用の抱き枕だね!」
「 〜〜〜〜っ  もういいだろっ 離れろよ!」
「う〜。まぁ、顔を真っ赤にして照れる染岡君が見れたことだし今日はしょうがないか」



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